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Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」とは
第1回:「学習効果の高いリモート研修設計のポイント」

チーフ・コンサルタント  小河原 光司

■Withコロナ/Afterコロナにより、トレーニング環境が劇的に変化した

 

 先日、ある企業の人材育成ご担当の方と今後の研修の企画~実施について、打合せをする機会がありました。その企業では、COVID-19の終息状況に関わらず、今後、すべての研修・トレーニングを「リモート環境」で実施する意思決定をしたとのことですが、一方で、「リモート環境」研修を実施することになった場合、これまでの「集合研修」と同様の効果が見込めるのか、非常に心配していました。
 本稿は、「リモート」を活用した研修におけるトレーニング効果を飛躍的に向上させる方法をお伝えしたいと思います。
リモート研修
 「リモート環境」という特徴を理解し、ちょっとしたポイントを押さえ、活かすことで、失敗しない(受講生の評価が高くなる、研修効果がむしろ集合よりも高まる)研修を企画・実施することができるようになります。

 学習効果の高い「リモート環境を活用した研修(以下、リモート研修)」を実現するためには、

1、 トレーニングの全体構成をBOA型にすること
2、 トレーニングの中身を“Hear”、“See”、”Say”、”Do”という4要素が含まれたものにすること
3、 トレーニングをOJTと連動させること

という、3つのポイントを押さえることが重要となります。

 筆者はトレーニング講師として「リモート研修」を企画・実施しておりますが、実際に、リモート研修を実施してみて、最近、明らかな違いを感じています。これまでの、その場限りの「時間・場所限定的」な学びである集合研修から、学びにおける「時間・場所制約がなくなり」、「いつでも、どこでも、様々な方法による継続的な学び」ができるリモート研修が実施できる環境が一気に整備されたのだと実感しました。

 それでは、環境整備が進んだ状況を最大限活用し、学習効果の高い「リモート研修」を実現するための3つのポイントをそれぞれ見てゆきましょう。

■学習効果の高い研修を実現する3つの鍵

1、 トレーニングの全体構成をBOA型(事前学習‐オンサイト‐事後学習)にすること

弊社JMACでは、研修・トレーニングの全体構成を企画する際には、BOA型による提供を推奨しています。
BOA型とは、事前学習(Before)‐オンサイトトレーニング(On)‐事後学習(After)の各頭文字を併せたもので、本来的な学びのサイクルを意図的に組み込んだトレーニングコースを設計することにあります。
これまでの集合研修は、オンサイトトレーニング(On)、すなわち、研修日だけに集まって学習するだけの学習でした。
学習効果の高い研修とするためには、これまで実施してきた集合研修をリモート研修へと単純に置き換えるのではなく、リモート環境という新しいトレーニング環境を最大活用した学びのあり方を再設計し、本来の「学びのあり方」を仕組み化することが必要です。

  筆者が考える「学びの仕組み化」とは、

・STEP1:新たな知識を学ぶこと(知識学習:知識のインプット)
・STEP2:新たな知識を理解すること(反転学習:知識のアウトプット)
・STEP3:理解した知識を実務に適用し再現性ある問題解決に結びつけること(実践学習:知識の現場適用)

 というSTEPを通じた、現場が抱える課題解決に対する継続的な活動を通じて、自律的に企業変革力向上を志向してゆくアプローチです。
 特に、リモート研修では、時間・場所を問わず、学習を進めることができる特徴を生かし、知識学習のe-ラーニング化に挑戦してみることも良いかと思います。

2、 トレーニングの中身を“Hear”、“See”、”Say”、”Do”という4要素が含まれたものにすること

既存の研修をBOA型にするだけでは、高い研修効果は望めません。BOA型が研修企画サイドに立脚したポイントだとすると、2つめのポイントは受講生サイドからのアプローチとなります。
 受講生にとって、退屈で面白みに欠ける研修とは、どのような研修でしょうか。それは、一方通行で知識を詰め込む講義を聴き続けることではないでしょうか。皆さんも一度は、このような眠くなる講義や研修を受講したことがあるのではないでしょうか。
受講生にとって、魅力度の高い研修とは、講義を“聴く(Hear)”、“見る(See)”といった一方通行の知識説明だけではなく、聴く(Hear)、見る(See)を通じて得た知識に関して、“議論・発言する(Say)”、“手を動かし演習する(Do)”といった要素を入れた五感を活用した教授法も組みあわせることが求められます。 
知識のインプットだけではなく、学習した知識を意図的にアウトプットさせる内容を組み合わせることで受講生のテーマ理解が深まるのです。
 リモート研修は、集合研修と異なり、全員が1つの会場に集まることはできないため、グループディスカッションやケース演習、といった内容が取り入れにくいと考える方も多いかと思います。しかし、リモート環境においてもZoomなどの会議システムに実装されている各種機能(ブレイクアウトセッションなど)を活用し、コース内に、“Say”“Do”といった要素を取り入れることは可能です。リモート研修を企画する際には、“Hear”、“See”、”Say”、”Do”という4要素を意識してみてください。

3、トレーニングをOJTと連動させること

 研修で身に着けた知識は、料理で言えば、いわば、レシピを覚えた段階です。おいしい料理を作るためには、レシピを覚えていることは重要なことですが、レシピを覚えているから必ずおいしい料理が作ることができるわけではありません。レシピを活用して、具体的に料理を作ってみることで、レシピで説明しきれていないコツといった行間を読むことができ、おいしい料理をいつも作ることができるようになるのです。
 このように学んだ知識を実践することで、「取得した知識の活用」と「現場成果の創出」という2つの間の関係性を自分の中で洞察し、自分自身が腹落ちすることが重要となります。こうした実践の場を仕組みとして提供することがトレーニングの事後課題の目的と考えます。
 筆者は、現場の課題解決力とは、「再現性の担保」であると考えています。「再現性」が担保できるまで知識をスキルとして昇華させてゆくためには、1人で試行錯誤することも大切ですが、他者の積極的な関与、支援も必要不可欠です。事後課題の実践においては、現場の課題解決に直結するため、上長の積極的関与、支援が求められます。事後課題解決と現場のOJTをリンクさせることで、教育効果と現場成果がはじめてつながるのです。

 これまで説明してきたように、学習効果の高いリモート研修を実現するためには、

1、トレーニングの全体構成をBOA型にすること
2、トレーニングの中身を“Hear”、“See”、”Say”、”Do”という4要素が含まれたものにすること
3、トレーニングをOJTと連動させること

という3つのポイントを再確認するだけで、研修効果が高く、受講生にとっても評価の高い研修を実現することができます。

■まずはBOA化の可能性を検討してみよう

 まずは、これから実施する予定の研修に関して、トレーニング構成をBOA型にしてゆくための改善点を検討して見て下さい。
たとえ、検討直後に見直し、修正することはできなくても、Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」実現に向けた課題が見えてくると思います。
 学習効果の高いリモート研修実現に向けた3つのポイントは、リモート研修だけではなく、集合研修においても適用できる検討枠組みですので、活用してみてください。
 弊社JMACでは、研修トレーニングに関わる企画・実施に関わる様々なサービスを提供しております。ご興味のある方、お悩みのある方は、無料相談会も随時開催しておりますので、ご連絡を頂ければと思います。
 本稿が人材育成に携わる皆さまの一助になれば幸いです。

⇒ 関連研修:「JMAC WEBトレーニング」

⇒ 関連研修:「リモートトレーナー育成」 



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コンサルタントプロフィール

ラーニングコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント
小河原 光司

小河原さん

経営者目線の戦略推進と現場の制約条件双方から見た「実現可能な戦略の実行」に対するコンサルティングと成果創出型の実践研修を支援している。
上場小売業において、商品本部長兼事業開発室長として事業構造改革を主導し収益改革を実現した経験を持つ。  
現在、事業開発室長としてリモートコンサルティング・研修の開発と普及を推進中。
ラーニングマネジメントシステム構築を主導する第一人者でもある。
中小企業診断士

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