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  3. Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」とは第4回: 『with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査』からみた人材育成の課題(その3)チーフ・コンサルタント  小河原 光司

Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」とは
第4回: 『with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査』からみた人材育成の課題(その3)

チーフ・コンサルタント  小河原 光司

■はじめに~

 先日、来期の人材育成トレーニング企画に関して、人材育成企画を検討しておられるご担当の方、そして、その上長とディスカッションをする機会がありました。
 その企業では、来期の店長研修を、新任店長向けと店長予備軍の2階層で実施する旨を伺いました。特に、店長予備軍は、企業サイドで受講生を選抜するそうです。新任店長になってから、店長に必要な学習を提供するのではなく、店長に登用することが想定される時点で、新任店長教育を実施することで、店長登用後、悩むことなく、店長として業務遂行ができるようにとの考え方です。
 職位に就いてからではなく、職位に付けることが想定させるタイミングで、必要な学習を早期に提供することで、「知識ギャップの早期解消」と「受講生への店長登用に対する企業としての期待と理解」(もうすぐ自分は店長になるのだ、という良い緊張感)を両立させる施策であり、選抜育成と現場を結ぶ、魅力的な企画であると感じました。

 前回は、『with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」においては、管理者層のリーダーシップ発揮による、 OJTとリンクした組織的・日常的・継続的な育成が求められていること、そしてその実現に向けた成立条件を説明してきました。
 しかしながら、「OJTとリンクした組織的・日常的・継続的な育成」に取り組むためには、その育成プロセスを支え、PDCAを回してゆくための業務基盤も併せて整備されていることが必要です。
人材育成を支える基盤の整備を含めた、Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」確立に向けた『全体解決シナリオ』は、

 「OJTとリンクした組織的・日常的・継続的な育成」であり、その実現に向けては、「育成対象者の重点化の仕組み作り」と「組織としてのOJTに対する明確な取り組み方針・指針の可視化」を連動させることを通じて、社内での成功事例を共有化し、組織としての問題解決力を向上させてゆく

 という活動の推進にある、と筆者は考えております。

 本稿では、『with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査』(以下、実態調査と記載)のアンケートデータからの定量分析結果をご紹介します。そして、その分析結果を考察し、人材育成におけるボトルネックとは何かを提示し、前回の提案骨子である「OJTとリンクした組織的・日常的・継続的な育成」も包含した『全体解決シナリオ』について説明します。

■実態調査データの分析と考察

 実態調査データを活用し、大きく2つの定量分析を実施しました。
 第1の分析は「総合人財レベルへの影響度」であり、第2の分析は「設問(≒課題)別達成レベル×重要度」の分析です。それぞれの分析結果は、以下の通りとなりました。

□「総合人財レベルへの影響度」
 「総合人財レベルへの影響度」として、JMACラーニングピラミッドの7つの視点レベルにて、回答者の主観によらない客観的指標(寄与率)を回帰分析から算出しました。
 その結果は、「総合人財レベルへの影響度が大きく、かつ領域別レベルが低い」、すなわち客観的に「対策が必要な重点領域」は 、「5.タレントマネジメント」の領域となりました。

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□「設問(≒課題)別達成レベル×重要度」
 次に、7つの領域毎の「個別設問(≒課題)別の達成レベル×重要度」の関係を分析しました。
 その結果を見てみると、「設問別レベルが下位、かつ重要度が上位」の設問、すなわち回答者にとって最も課題感の強い設問は、「5.タレントマネジメント」の領域にある、 「5-2成功事例の社内共有、暗黙知の形式知化の仕組み」となっています。
 
 また、「レベルが下位、かつ重要度が中位」・「レベルが中位、かつ重要度が上位」の設問まで含めると、「5.タレントマネジメント」の領域の設問が5問中4問まで該当しています。

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■分析結果から見た『人材育成ボトルネック』と『全体解決シナリオ』

 上記の分析結果より、「人財育成の達成」に向けた「対策が必要な重点領域」、すなわち、人材育成におけるボトルネックは、「5.タレントマネジメント」であり、その中でも最重点課題は、「5-2成功事例の社内共有、暗黙知の形式知化の仕組み」であることが見て取れます。
 
 そして、その、「5-2成功事例の社内共有、暗黙知の形式知化の仕組み」の確立に向けた『全体解決シナリオ』を作成しました。
 
 シナリオ作成に際しては、「設問(≒課題)別達成レベル×重要度」分析における右下の象限に位置する重点設問(≒重点課題)に関して、その因果関係を整理しました。

 そして、弊社では、下記の3つの課題領域、すなわち施策を連動させることが必要不可欠であることを提案しています。

Ⅰ.研修実施後の積極的な上長関与とトレーニングの有効性分析
Ⅱ.リソース確保を前提としたLMS/マネジメントシステムの整備
Ⅲ.人材育成計画に基づく知識・スキル体系とOJT方針の可視化

■『全体解決シナリオ』における3つの施策


 『全体解決シナリオ』における3つの課題領域、すなわち施策を見てみましょう。


.研修実施後の積極的な上長関与とトレーニングの有効性分析

 まずは、BOAにおける「A」すなわち「After」に対する施策であり、前回のコラムで取り上げた、管理者層のリーダーシップ発揮による、 OJTとリンクした組織的・日常的・継続的な育成に関するものです。それに加えて、重要となるのは、「After」での人材育成を通じて、BOAの「BA」の要素、つまり、「Before」と「On」でのトレーニングが有効性あるものであったかどうか、のフィードバックのプロセスを設計することです。

 現場実践の場である、Afterで発生した課題をフィードバックし、「Before」と「On」でのトレーニング内容の修正を含めた「トレーニングコース自体のブラッシュアップ」を図ることが大切です。

.リソース確保を前提としたLMS/マネジメントシステムの整備

 上記Ⅰの施策の有効性を担保するためには、他の2つの施策との連動が求められます。その1つ目です。前回のコラムでも取り上げましたが、上記Ⅰは、組織管理者(マネジャー)にとっても負荷がかかる施策です。現実的に、すべての社員に上記Ⅰの施策を適用することは、困難であることが多いと思います。そこで、必要となるのが『「選抜」育成』という考え方であり、重点的に育成すべき対象を選定するために、人材育成情報の一元化が必要となります。その仕組みが「LMS/マネジメントシステム」です。

 皆様に留意して頂きたいのは、この「LMS/マネジメントシステム」は、人事系の情報システムを導入するということを意図しているものではありません。人事系システムベンダーは、タレントマンジメントと学習管理が実装された情報システムの必要性を説きますが、企業規模や管理対象により、その必要性を判断すべきであり、システムがないと管理できないものとは、筆者は考えておりません。

 目的は、重点的に育成すべき対象者を選定する(ことができる)プロセスを構築することですので、情報システム化ではありません。情報システム導入は解決手段の1つであると考えることが大切かと思います。

.人材育成計画に基づく知識・スキル体系とOJT方針の可視化

 上記Ⅰの施策の有効性を担保するための2つ目の施策です。上記Ⅰの施策、特に事後課題の上長による積極的なフォローを実現するためには、上長としての職務として、部下の人材育成を行うこと、そしてどのくらいの時間をかけ、どのような成果を創出するのか、といった具体的な方針、指針が全社として提示されている必要があります。

 OJTに関わる内容、レベル、時間を上長の裁量に任せるのではなく、指針として規定することで、「忙しいから後回し」ではなく、「忙しくとも実施すべき重点業務」として位置付けることも必要です。必要以上の管理は望ましくはありませんが、上長と部下とのOJT実施内容をコミュニケーションシートとして履歴を残し、事後課題の成果創出に向けて、どのような助言をしたのか、を明確化しておくことも、成功事例の形式知化に繋がってゆくものと考えます。

 まずは、研修トレーニング、OJT、人材育成情報の管理、コア人材対象者は誰か、といった人材育成の各領域が連動しているのか否か、連動ができていない場合、その要因はどこにあるのか、を検討して見て下さい。大切なことは「連動」させることです。まずは、モデルのトレーニングコースでも良いので、そのコースを題材にして、どのような連動を図るべきなのか、というあるべき姿をデザインし、現状とのギャップを把握してみてはいかがでしょうか。

 弊社JMACでは、研修トレーニングに関わる企画・実施に関わる様々なサービスを提供しております。ご興味のある方、お悩みのある方は、無料相談会も随時開催しておりますので、ご連絡を頂ければと思います。

 本稿が人材育成に携わる皆さまの一助になれば幸いです。

 本稿にて触れております「with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査」に興味がある方は、調査結果に関する動画セミナーを公開しておりますので、下記URLをクリックし、ご視聴頂ければと思います。

⇒ 「with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査」セミナー動画の視聴はこちらから

>> 小河原 光司 のコラム 前号(第3回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

ラーニングコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント
小河原 光司

小河原さん

経営者目線の戦略推進と現場の制約条件双方から見た「実現可能な戦略の実行」に対するコンサルティングと成果創出型の実践研修を支援している。
上場小売業において、商品本部長兼事業開発室長として事業構造改革を主導し収益改革を実現した経験を持つ。  
現在、事業開発室長としてリモートコンサルティング・研修の開発と普及を推進中。
ラーニングマネジメントシステム構築を主導する第一人者でもある。
中小企業診断士

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