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「製造現場における人材育成」
第2回 :現場における人材育成

インテリジェントメンテナンスセンター チーフ・コンサルティングプランナー
山元 康信

1.人材育成を効果的に実施するには

 前回は人材育成の必要性を述べたが、よく人材育成の必要性は感じていても、実際の人材育成の効果について物足りなさを感じるという意見を聞くことがある。
 これは効果的に人材育成がなされていないためであると思われる。

 では効果的な人材育成とはどのようにすればよいのであろうか。今回は弊社の人材育成支援の例を基にこの点について述べてみたい。

1-1. コンサルタントによる「直伝」教育

 10年前から弊社が行っている製造現場の人材育成支援サービスとして、「直伝」という教育プログラムがあり、多くのお客様に採用されてきたこのプログラムは今でも私たちの社内教育をクライアントの皆さんに提案する際の効果的なプログラムとして引き継がれている。
 なにが効果的であるのか、その教育プログラムの内容について具体的に触れてみたい。

 「直伝」の支援サービス内容は、
 ①基礎知識を習得し、
 ②学んだことを自分たちの設備で実践、
 ③後日コンサルタントが現場で直接アドバイスする、というものである。

 基礎知識の習得は10年前から通信教育にて実施していたが、現在はオンラインによるWEB教育にて実施している。

 このプログラムの特徴は座学による基礎知識の習得だけで終了していないところである。人材育成の効果に満足されていない企業は 他所から持ってきた座学による一般的な基礎知識の教育だけで終了してはいないだろうか。基礎知識の習得ができたとしても、実際の業務や設備でその内容を実践・応用できなければ教育は使えないもので終わってしまうのである。つまり座学の後に実践・応用ができるかどうかを実際の現場で確認することが重要なのである。

 では、自分たちの職場での実践・応用をどのようにフォローすればよいのであろうか。もちろん上司が教育内容をきちんと理解したうえで、フォローするのがベストではあるが、限られた時間の中で数多くいる部下の研修後のフォローまではなかなか難しいのが現状ではないだろうか。そんな業務多忙な上司に代わってフォローを行うのが、コンサルタントによる現場での直接アドバイスである。
 
 専門知識と経験豊富なコンサルタントが研修後のフォローアップと自分たちの職場の課題を一緒に洗い出しを行うことで、基礎知識の習得が現場での実践につながっていく。そして定期的に現場でのアドバイスと実践を繰り返すことで、効果的な人材育成へと結びつけることができるのである。

 ここまで述べるとお解かりかもしれないが、この支援プログラムは人材育成のPDCAをまわしたプログラムとなっているのである。
 
 人材育成の計画を立てて、

 ①P (Plan:計画):基礎知識を習得、
 ②D (DO:実施):学んだことを自分の設備で実践、
 ③C (Check:評価):当社コンサルタントによる現場での直接アドバイス、
 ④A (Act:処置):今後の課題洗い出し
 
 というこの一連のPDCAが人材育成を効果的に実施するための大きなポイントとなっているのである。
 皆さんの職場での人材育成もPDCAがきちんと回っているか、今一度振り返ってみてはいかかであろうか。

1-2.ステップ展開による効果的人材育成

 現状と人材育成後のあるべき姿でギャップが大きい場合、一度や二度の研修を受けたとしてもそのギャップを埋めることは非常に難しいのではないだろうか。人によっては研修を受けても変わらないことに挫折を感じたり、自己嫌悪に陥ったりしてしまうことがあるかもしれない。

 弊社が人材育成のお手伝いをする場合はあるべき姿までを数段階のステップに分け、ステップごとの中間目標とタスクを細かく設定している。一般的にはマイルストーンと呼ばれ、大きなプロジェクトを遂行する場合、プロジェクトの各節目にチェックポイントを設定し、タスク管理や進捗確認を行いながら進めていくのである。
 
 人材育成の場合も同じで、最終ゴールを示すだけではなく、1つ1つのステップを確実にクリアし、自身の成長を実感させながら進めていくと効果的である。
 
 ステップ展開の良さは、自分が今何をやるべきなのか、それが終われば次に何をすればよいのかが分かりやすくまとめられているので、早い人はどんどん次のステップへと進むことができるのである。

 図1にオペレータが設備の不具合を摘出・復元できるようになるためのステップ展開の例を示す。不具合を摘出する目的は設備故障や製造不良を減らすことであり、故障の発生源を摘出・復元することで設備の正常な状態を維持する必要がある。

yamamoto_2.png

 この不具合摘出に関するセミナーに興味がある方は、ページ下の >>関連する研修「自主保全ステップ展開セミナー」よりご覧ください。

 次回は設備保全を効果的に教育するための実践的な学びの場についてご紹介していきたい。引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします。

>> 関連する研修「自主保全ステップ展開セミナー」

>> 山元 康信 のコラム 前号(第1回)はこちらから

>> 山元 康信 のコラム 前号(第3回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

TPM事業本部 インテリジェントメンテナンスセンター チーフ・コンサルティングプランナー
山元 康信(やまもと やすのぶ)

山元さん

1992年日本プラントメンテナンス協会入職。2013年日本能率協会コンサルティングと合併後現在に至る。

コンサルティングプランナーとして数多くの食品工場を担当し、TPM活動を通じて、 生産性向上、労働安全を含めた改善活動の推進を経験してきたとともに、TPM優秀賞の審査などで診断も経験。

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