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  3. 「次世代経営人材育成研修のかんどころ」第2回:「変われる人材、変われない人材」シニア・コンサルタント   横山 隆史

「次世代経営人材育成研修のかんどころ」
第2回:「変われる人材、変われない人材」

シニア・コンサルタント   横山 隆史

はじめに~

 第2回のテーマとして、「変われる人材、変われない人材」を採り上げたいと思います。第1回も述べた通り、次世代経営人材育成研修に携わって10年以上になります。研修を受託する企業数や、1回あたりの受講人数にも左右されますが、平均するとおそらく年間に100名前後、「次世代経営人材の候補」 という方にお会いしていると思います。単純計算でいくと、10年なら1,000名前後の方々とお会いしていることになります。


 これだけ多くの方々と、経営人材育成という同じテーマで触れ合っていると、一般的に言われる法則、 「2:6:2」 が顕著に現れることを強く感じます。約20%の方は研修を通じてどんどん変わっていき、当初には考えられなかったほどの成長を示します。一方で、残念ながら、“下” の約20%も発生してしまいます。次世代経営人材育成研修は、総じて半年程度の長期となりますが、その期間でもってしても変われない人材が出てしまうのが実際です。
 
 ここでお断りしておきますが 「なんだ、20%くらいは研修をしても無駄なんだな」「研修効果は上位の20%か、歩留まりが悪いな」 とは決して思わないで頂きたいと思います。まず、次世代経営人材育成研修は、知識習得型研修や階層別研修等とはまったく意味合いが異なります。研修を受講した全員が、将来経営幹部になれるわけではありません。おそらく、よくても数%程度でしょう。その意味では、次世代経営人材育成研修は “ふるい” にかける研修であり、受講者にとっては “登竜門” となるものです。逆に、“下” の20%が顕在化してよかった、と捉えて頂きたいと思います。

 さて、「変われる人材、変われない人材」ですが、これまでの経験から、大きく3点あるかと感じています。「変われない人材」は、まさに変われる人材の裏返し、と言えるでしょう。

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 順番に見ていきましょう。

1.ご自身の思いがある

 「変われる人材」についてまず感じることは、ご自身なりの確固たる信念や考え方を持っている、ということです。「これをなんとかしたい」「これをこう変えたい」 という思いがある、と表現できるでしょう。

 近年の言葉で言えば、「パーパス」 に近いと思います。経営理念とパーパスはよく比較されますが、経営理念はあくまで 「自社は…」 であり一人称で語られるものですが、パーパスは 「社会をこう変えたい」 等といった三人称で語られるもので、周囲に大きな共感を与えるものと言えます。

 ある部品メーカーでの、女性エンジニアの話です。(詳しくは書けませんが)日常業務を通じて、自社製品の美しさや可能性を感じていたようです。一方、私生活ではお子さんへの教育が気になっていた。そこで 「自社製品で知育玩具を作れないか」 という思いに至りました。この企業は、特定顧客への部品供給だけをしてきたので、BtoCへの進出は “ありえない” 提案でしたが、この女性は周囲を巻き込みながら、トップにも思いをしっかりと伝え、最終提案で採用となりました。周囲を説得できたのは、まさにこの女性の思いが共感を呼んだのです。この女性エンジニアの思いはその後も変わらず、「週末にレゴランドへ行けば、彼女が子供をみて研究してますよ」 と社内で一時噂になったほどでした。

 一方、「変われない人材」 ですが、興味深いことにある口癖が共通しています。それは 「これでいいですか?」 と聞いてくることです。次世代経営人材研修で取り扱うテーマは経営課題にほかならず、答えがないものばかりです。つまり、「これでいいですか?」 という質問はナンセンスの極みなのですが、この質問を平気で聞いてきます。良い/悪いの判断を講師に求めてくること自体、思いがないことの顕著なあらわれでしょう。

2.素直に受け入れることができる

 変わる人材は、本当に素直です。研修では新たな知識の習得や、新たなチャレンジが常にありますが、抵抗を示さずに素直に受け入れていき、自分のものへと体得していきます。余計なバイアスやフィルターがない、というのは、人が成長していくための重要な要素だと感じるようになりました。
 
 一方、変われない人材は、新たなものに対して常にご自身のフィルターやバイアスをかけてみています。そして習得する前に 「こういうものだ」 と頭で決めつけてしまう傾向があります。経営人材を育成する研修に参加する受講者ですから、総じて実務での相当な経験・実績があり、それに基づく知識・ノウハウをお持ちです。しかし私は、その積み重ねた知識・ノウハウが逆に成長の足かせになっている、と考えるようになりました。「自分はできている」 という思い込みは、自分の上限にフタをかぶせてしまっているようなものです。これほど怖いことはありません。
 
 ある建材メーカーでの話ですが、驚くほど素直に、まじめに、好奇心をもって研修に取り組む方がいました。正直なところ、研修当初は目立つ存在でもなかったのですが、回を増すごとに発言が面白くなっていきます。研修と研修の合間を活かして、様々な書籍にあたったり、現場に赴いてみたり…を繰り返すうちに、「自分にはまだこんなに知らなかったことがたくさんあった」 が逆に刺激になったようです。最終プレゼンテーションでは、経営トップから 「ここ数年で一番のプレゼンだった」 と言わしめました。その後、経営企画へと異動し、「当時のプレゼンテーションの実現に向けてがんばってます!」 ということをお聞きしました。

3.周囲の方々と協働できる


 経営人材ともなると、ご自身がいくら優秀であっても組織の成果とはならないため、いかに周囲を巻き込み、協働のもと、人を動かして成果を出すか、ということがポイントとなります。逆に、周囲の意見を聞かずに、一人で最終アウトプットを作り上げて、最終プレゼンテーションも独り舞台、という方もいます。しかしこれでは、その人の能力=組織の能力となってしまい、組織のポテンシャルを無駄にしてしまっていることになります。

 ただし、次世代経営人材育成研修では、周囲との協働という点では難しい側面がある、こともお含みおき下さい。日常業務なら、組織上の責任・権限で人を動かすことができるのですが、研修中はそのような責任・権限がありません。責任・権限がない中で人を動機付けて行動させるというのは、実は非常に高度なリーダーシップです。研修中にそのような人材がいれば、まさに次世代経営人材候補と言えるでしょう。  

 ある地方銀行の話ですが、この資質を満たす人が何名もいて、驚いたことがあります。よく観察すると、接触頻度を増やす工夫をしている(頻度高く会えば信頼を醸成できる)、よく話す(誤解が少なくなる)、常に目的から語る(作業から入らない)、等といった特徴を感じました。いつも激論なのにみんな仲がいい、率直に 「よい銀行だ」 と感じたことがあります。

 次回は、研修の内容について、段階的にご紹介したいと考えております。


⇒ 関連研修:
「次世代経営人材育成研修」の詳細はこちらから

>> 横山 隆史 のコラム 前号(第1回)はこちらから

>> 横山 隆史のコラム 次号 (第3回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

経営戦略事業部 シニア・コンサルタント
横山 隆史(よこやま たかし)

横山さん

政府系金融機関で、営業・審査業務を経験し、当社入社。
前職での経験を活かしてアカウンティング・ファイナンス等の分野で強みを発揮しながら、経営戦略、マーケティング等へ領域を広げてきた。
新規事業検討、ビジョン・中期経営計画策定、ビジネスモデル構築、企業/事業再生等といった分野で実績がある。
近年においては、新たなビジネスモデルの概念「プロフィット・デザイン」の普及に取り組むと同時に、次世代の経営人材育成支援に取り組んでいる。

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