コラムCOLUMN
「ラインに貢献!スタッフ人材として「共通の心得」を学ぼう」
第8回(最終):リッチスタッフ論②
シニア・コンサルタント 塚松 一也
■はじめに
それぞれのスタッフの業務内容・職務分掌は社内規定や一般書籍等で詳しく語られていますが、スタッフ職に共通に言える基本姿勢や仕事の考え方について書かれたものは、これまであまり見かけたことがありません。
本コラムでは、職務内容に係わらず、誰かを支援することが貢献になるという意味で、スタッフたる人が共通して心得ておくべきことについて、8回に分けてお届けします。
今回は、最終回(第8回)「リッチスタッフ論②」をお届けします。
3-4.ライン・スタッフの人員配分の変化イメージ
「ヘビーライン&プアスタッフ構造」から「スマートライン&リッチスタッフ構造」の変革を、リソース配分の観点で比較してみます。
下図の左側は、とにかく製品開発ラインを充実させなければいけないということで、多くの人をラインに投入しているイメージです。そのため、開発環境をよくするスタッフの人員が足りなく、ラインは効率の悪い環境で仕事をせざるをえません。効率の悪さをラインの頭数にものをいわせてなんとかこなすという構図です。開発の仕方が変わらないまま走り続けているので、いつも疲弊感に満ちている状況になりがちです。
一方、右側は、製品開発ラインが少数精鋭で調整が少なく仕事ができるイメージです。開発環境をよりよくするスタッフが充実していて、常に開発効率を高め続けることができるのです。いつもなんらかの改善が進められているという状況にあるということです。
3-5.スマートライン&リッチスタッフ構造にもちこむために
コンサルティングで、前ページのような話をすると、「ヘビーライン&プアスタッフ構造ではなく、スマートライン&リッチスタッフ構造になったほうがいいことは理想論としてはよくわかるが、実際にはどのように変えればいいの? うちのトップが、急にスタッフの人員を増やしてくれるとは思えない。結局、ずっとプアスタッフの状態を甘受するしかないよ。」と、変わることを諦めてしまっている人に出会うことがあります。たしかに、一夜のうちに見違えるように変えることができる画期的な方法はないでしょう。変革の方法はただ一つ、「少ない人数ながらもスタッフががんばってラインに貢献し、スタッフを充実させることの価値をトップとラインに認識させる」しかありません。
スタッフたるもの、「こんな少人数のスタッフでは何もできないよ」などと嘆き諦めてはいけません。また、「スタッフ機能を強化するために、まずは人をください。」などと“ないものねだり”を嘆願したところで、おそらく状況はすぐには好転しません。「うちのトップは理解がない」などと嘆いていても何もかわりません。なすべき努力、できる努力を見出すように努めるべきです。それは、少ない人数ながらも、ラインに貢献できることを見出し、「啓発」「知恵袋」「孫の手」スタッフ的に貢献し価値を見せつけることです。悪循環から抜け出す“糸口”は、スタッフがめげずに頑張ることしかありません。そのためには、本小冊子で繰り返し訴えてきた“スタッフたるもの”という気概と良き姿勢、そして高い志、使命感、プロ意識が、極めて重要になるのです。
コンサルタントプロフィール
R&D組織革新センター シニア・コンサルタント
塚松 一也
R&Dの現場で研究者・技術者集団を対象に、ナレッジマネジメントやプロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとして、魅力的なありたい姿を真摯に構想し、現場の組織能力を信じて働きかけ、じっくりと変革を促すコンサルティングスタイルがモットー。
ていねいな説明、わかりやすい資料づくりをこころがけている。