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「次世代経営人材育成研修のかんどころ」
第4回:「新たな発想・着眼 ~プロフィット・デザイン~」
シニア・コンサルタント   横山 隆史

はじめに~

 前回の内容も踏まえながら、第4回に入っていきたいと思います。
 まず、振り返りですが、次世代経営人材育成研修のカリキュラム全体を、目的感をもって記すと

❶ 財務 → 経営の成果を、金銭という尺度で捉える
❷ 経営戦略 → なぜその成果に至ったのか、内外の環境分析からテーマを見出す
❸ マーケティング → テーマの解決に向けて、事業の方向性を見出す
❹リーダーシップ → 方向性の実現に向けて、人を動かす要素を考える

 という流れとなります。
 
経営活動の成果を、定量的にカチッと捉えるには、財務からスタートするのがベストです。
一般的なMBAのカリキュラムなら後段にまわされがちな財務ですが、我々JMACの次世代経営人材育成研修では、トップに位置付けています。

1.「経営戦略」 では、内外の環境分析から、真に解決すべきテーマを抽出する

 そして、次のテーマは 「経営戦略」 となります。ここでも、目的感をもって 「経営戦略」 を確認しますと、

なぜそのような財務成果となったのか、内外の環境分析から解決すべきテーマを導き出す

となります。

 その財務的成果に至った背景には、必ず内外の環境要因があるはずです。項目としては、外部環境分析ならば 「PEST分析」「5つの力分析」「ポートフォリオ」、内部環境分析ならば 「バリューチェーン」「コア・コンピタンス」、そして最後には 「SWOT分析」 となるのですが、このようなフレームワークを用いる目的は、解決すべきテーマを導き出すことにあります。

 この点は非常に重要なポイントです。次世代経営人材ともなると、真に解決すべき経営課題を抽出すること自体が、非常に重要な役割・使命となります。つまり、宿題を “こなす” 立場ではなく、宿題を “与える” 立場になる、と言うことです。逆を言えば、誤ったテーマを設定してしまうと、組織をまったく違う方向へと導きかねない、ということになります。そのため、「設定したテーマ自体が妥当なのか」 を確認するために中間報告を設定しています。

2. 新たな発想・着眼 ~プロフィット・デザイン~

 そして、解決すべきテーマが定まったら、そのテーマを通じてどうありたいのか、そのテーマの解決を通じて到達したいゴールと、実現に向けて具体的にどう戦っていくのか、をマーケティングで検討することとなります。
 
 一方で、いきなり 「どう戦う?」「事業の方向性は?」「これまでと何が違うのか?」 と言われても、斬新な発想が突然出てくるものではありません。なんらかのインプットがあって、初めて新結合が起きると言えるでしょう。
 
 JMACでは、ビジネスモデルの概念として、「プロフィット・デザイン」 という考え方を提唱しております。2010年前後からこの概念を構築し、改変もしながら今日まで至っております。多くのクライアントでもご紹介しており、また実績も多いことから、次世代経営人材育成研修でも新たな着想を得るためにご紹介しております。

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 紙面の関係から、詳細まで記すことは難しいところですが、その最も重要な3つの言葉 「フック、ロック、チャージ」 をご紹介したいと思います。持続的なビジネスを構築するために不可欠となる要素であり、「フック・ロック・チャージ」 と語呂合わせも良いことから、多くのクライアントで合言葉のように使って頂いています。

2-1.フック要素:顧客を魅了する


  "フック" とは文字通り、顧客の 「買いたい」 という欲求に引っ掛かる(フックする)ような、顧客を魅了する要素のことを指しています。持続的なビジネスを構築しようにも、まずは顧客との最初の結びつきを得なければなりません。そのためには顧客の 「買いたい」 を刺激するような要素が不可欠となってきます。  
 それでは、どうすれば顧客は魅了されるのでしょうか。私はいつも、「競争上のポイントをずらす、生み出す」 とお伝えしています。これまでと同じ、競合他社も知っている競争上のポイントで勝負しても、厳しい競争を回避することはできません。競争上のポイントをずらしたり、新たに生み出すことができれば、ビジネスの新境地を開くことができるのです。

 最もイメージしやすのはテレビかもしれません。テレビのメーカーは、いつまでも 「画質」 と言う競争の軸から離れられずにいます。4K、8K...確かに美しいことはすばらしいのですが、どのメーカーも収益に結びつけることができていません。「画質」 という知れたる競争の軸で戦っているために、同質の競争に陥ってしまっているのです。

 一方、中国の小米(xiaomi)が出している 「MI TV」 は興味深いところです。10万円程度で4K、60インチが購入できる安さですが、主戦場はコンテンツへと移っています。つまり、購入した "後" に戦場を移すことで新境地を切り拓いているのです。  
 フック要素を考えるには、豊かな発想力が求められます。そのため、研修では各種のアイデア発想法をご紹介しながら、「アイデア100本ノック」 といったような取り組みをしています。

2-2.ロック要素:顧客を離さない


 プロフィット・デザインの検討において、最も重要となるのがこのロック要素の検討です。利益を持続的に生み出すためには、顧客との良好な関係を構築し、顧客から選択され続け、購入され続けなければなりません。顧客のスイッチング・コストを高め、離反を防止し、購入し続けてもらうための要素がロック要素となります。

 では、どうすれば顧客をロックできるのでしょうか。私はいつも、「顧客の大切な "持ち物" を囲い込む」 とお伝えしています。成功しているビジネスは、必ずといっていいほど、その製品・サービスの利用を通じて、顧客の大切な "持ち物" を囲い込んでいます。

 例えば、iPhoneはどうでしょうか。iPhoneは単なるデバイスにすぎませんが、我々は手放すことができなくなっています。その理由は、iPhoneを使い続けることで、我々の大切なものがどんどん囲い込まれているのです。お手持ちのスマートフォンの中に、何枚の写真が入っているでしょうか?

 他には、Microsoftも典型例です。ワードやエクセル・パワーポイント上に我々の情報がどんどん蓄積されていき、ソフトを変えようという気さえ起こりません。

 そのビジネスを通じて、意図して顧客が本来持つべき大切なものを囲い込めば、顧客は離反できず、持続的なビジネスの可能性が見えてきます。

2-3.チャージ要素:顧客の負担を軽くする


 顧客と持続的な関係を構築するためには、やはり顧客の金銭的・経済的負担は長期的な観点から軽減することが望ましいと言えます。裏を返せば、短期目先での対価を重視するのではなく、顧客のライフサイクルコストを見据えた課金の方法を検討する、と言うことになります。どのように対価を頂くか、という点もプロフィット・デザインの重要な要素となるのです。

 そのためには、いつも課金の方法を抜本的に見直して欲しい、と研修ではお伝えしています。つまり、課金に関わる

Who :課金の対象者を変える
What :課金の対象とする商品・サービスを変える
When:課金のタイミングを変える
Why :課金の理由・名目を変える

 を変えてみる、ということです。価格設定に際しては、どうしてもコストや利益を意識してしまいますが、顧客目線で考えると、その商品・サービスがいくらで作られたのか、は関係のないことなのです。いかに顧客目線で既存の課金に関するロジックを変えられるかがポイントとなります。

 次回は、このようなインプットを経て、最終報告に向けたアウトプット活動はどのように取り組んでいるのか、をご紹介したいと思います。


⇒ 関連研修:
「次世代経営人材育成研修」の詳細はこちらから

>> 横山 隆史 のコラム 前号(第3回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

経営戦略事業部 シニア・コンサルタント
横山 隆史(よこやま たかし)

横山さん

政府系金融機関で、営業・審査業務を経験し、当社入社。
前職での経験を活かしてアカウンティング・ファイナンス等の分野で強みを発揮しながら、経営戦略、マーケティング等へ領域を広げてきた。
新規事業検討、ビジョン・中期経営計画策定、ビジネスモデル構築、企業/事業再生等といった分野で実績がある。
近年においては、新たなビジネスモデルの概念「プロフィット・デザイン」の普及に取り組むと同時に、次世代の経営人材育成支援に取り組んでいる。

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