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「ラインに貢献!スタッフ人材として「共通の心得」を学ぼう」
第4回:スタッフたるもの論①
シニア・コンサルタント 塚松 一也

■はじめに

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 スタッフの役割は多岐にわたります。
 それぞれのスタッフの業務内容・職務分掌は社内規定や一般書籍等で詳しく語られていますが、スタッフ職に共通に言える基本姿勢や仕事の考え方について書かれたものは、これまであまり見かけたことがありません。
 本コラムでは、職務内容に係わらず、誰かを支援することが貢献になるという意味で、スタッフたる人が共通して心得ておくべきことについて、8回に分けてお届けします。
 今回は、第4回「スタッフたるもの論①」をお届けします。

2-1.スタッフの姿勢の違いがもたらすもの

 スタッフはラインを支援する役割ですが、その支援の仕方、ラインへのサービスの仕方が適切でないと、ラインからの評判も悪いうえに、スタッフ自身の成長を妨げることがあります。
 図13をみてください。図の左側は、お客様に役所の窓口で書類申請を提出してもらっている絵で、「要望を書いて申請してください」型のサービスを表しています。一方、右側は、レストランでお客様の要望を聴いている絵で、「ご要望をお聞きしましょう」型のサービスを表しています。
 
 「要望を書いて申請してください」型の絵は、いかにも“お役所仕事”的で、融通がきかずぶっきらぼうな対応をしそうなイメージをうけますが、ここでは対応する人の感じの良し悪しを問題にしているのではありません。お役所に限らず、いまどき、サービスするスタッフの対応が感じいいことは当然です。問題は、めったに書く機会のない書類(それは今後もおそらくそんなに書く機会がないと思われる書類)を(素人の)お客様に書かかせていることです。業務に詳しくないお客様に書類を書かせているため、何をどう書いていいかを悩んだり、せっかく書いてもらった内容に不備があたりと、お客様とスタッフの共同作業である要望伝達行為の的確性・効率性がともに低いのです。そのうえ、このやり方では、スタッフは、書類に書かれた情報しか得られません。お客様の情報を最低限しか得られないという仕事のしかたなのです。 
 
 一方、図の右側 の「ご要望をお聞きしましょう」型では、「お話を聞いて、準備するのは我々スタッフです。我々のほうが経験豊富ですから、どうぞご要望を自由におっしゃってみてください。」という姿勢ですから、お客様からいろいろと話をスタッフが聴くことで、要望伝達行為の的確性・効率性ともに高くなります。そのうえ、スタッフは、お客様の情報を最大限に得られやすくなっています。うまく話を聞ければ、今回対応できなくても、将来対応すべきことを見出すことができます。
 
 どちらがお客様志向なのか、どちらの請け方のほうが要望を適切に把握できるかは、明らかでしょう。さらに、どちらの姿勢をとることがスタッフ自身が学習して成長していけるかという点でも両者はあきらかに異なります。スタッフのサービスの姿勢の違いは、経年では大きな差となっていきますので、極めて重要なことなのです。
 
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 誤解のないように丁寧に書きますが、ここで言いたいことは、どんな時でも手間のかかる仕事をラインに代わってスタッフが行うべきだということではありません。スタッフの姿勢でどうあるべきかは、何がお客様(ライン)に貢献することか、何をすることがラインとスタッフの共同作業の効率を高めることになるのか、どのようにすればスタッフ自身が成長し、より先行的になれるのか、などの観点から考えるべきだということです。
 
 例えば、図14は、図書室のスタッフの例ですが、何度もいらっしゃるお客様に、求める資料探しを毎回代わりにやってあげることは、一見親切なようにみえます。しかし、冷静に考えると、それは良いスタッフの対応姿勢だとは言えないのではないでしょうか。この場合は、一見不親切に見えるかもしれませんが、「お客様が自分でできるように支援すること」が、スタッフがとるべき態度なのではないでしょうか。お客様の成長のためにも、お客様とスタッフのやりとりの効率的にも、スタッフ自身の仕事の幅を広げる意味でも、そちらのほうがいいと言えます。

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 スタッフの姿勢について、もうひとつ別の例で考えてみましょう。改善の推進などを担うスタッフは、現状把握等の目的で、ラインに対してインタビューを行うことがありますが、それが「事情聴取・監査的」な雰囲気に陥ってしまう人がいます。「どうなっていますか?」、「できていますか?」と迫ると、ラインは口を閉ざしてしまうものです。そうではなく、相手が「この人に相談してみよう」、「悩みをぶつけてみよう」という気になる空気をつくることが大切です。インタビューで何かを聞きだそうという姿勢ではなく、インタビューの中で相手がぶつけてきた悩みに真摯に応えるという姿勢でいることがスタッフにとって大切です。そのためには、聞かれそうなことに対してふだんから勉強しておくことが必要です。スタッフたるもの、ふだんの勉強が大切だということに尽きます。

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2-2.スタッフたるもの、最初の働きかけ先を誤らないこと

 改善や変革を推進するスタッフの貢献先・支援先は、もちろん対象部門全員なのですが、全員に対して同時期に均等にはたらきかけることはけっして有効な方法ではありません。どんなに良い改善案であったとしても、対象部門の全員がすぐにすんなりと改善案を受け入れてくれるものではありません。組織の中には改善に対して「オッ、いいね」と前向きな人がいる一方で「やっても無駄だよ」と後向きな人もいます。そして、大多数の人は前向きでも後向きでもなく“様子見”の人です。その状況は、よく「2:6:2の法則」などと呼ばれ、世の中全般的によく以下の図のように認識されています。正規分布に近いとは限りませんが、真ん中(様子見)が多く量端(わかりやすい前向きな人、わかりやすい後ろ向きな人)が少ない分布です。

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 さて、改善に対して前向きな人も後ろ向きな人もいる集団に対して変革を働きかける場合、まずは前向きに乗ってくる初期採用者(アーリーアダプター)の人に対して多く愛情を注いで支援するようにするのが有効です。ところが、人間は、後ろ向きな人が気になります。また、いわゆる“偉い人”、“組織内で発言力がある人”が後ろ向きな発言をしたりすると、その後ろ向きな人をなんとか説得しなければいけないという気になっていまいがちです。しかし、後ろ向きな人の説得は、相手にそもそもその気がないのですから、労多くして功少なしです。後ろ向きな人をけっして無視して進めてはいけませんが、話を聞く程度にとどめておき、過剰な説得は控えることです。
 
 前向きな人に多めの支援をすることで、ねらっている改善の成果(最初は小さな変化)が、初期採用者の周辺で起こります。初期採用者のところで、他の人にもわかるような変化が起これば、それを「あッ、よさそうだな」と“様子見”の人たちが敏感に感じて、徐々に改善に協力的な態度をとるようになります。改善に取り組む人がじわじわと拡大していくと、最初後ろ向きだった人が全体でみると少数派になっていきます。よほど提案している改善の筋が悪くない限り、最初後ろ向きだった人は反対勢力として抵抗しないものです。「もともと反対はしていない。私は、最初、心配していただけなんだ。」と、(良い側に)手のひらを返すような態度をとってくれるようになります。

 改善を働きかけるスタッフたるもの、この組織変革の原理を理解し、最初の働きかけ先を誤らないようにすることが重要です。


2-3.スタッフたるもの、初期採用者を見誤らないこと

 たとえば、新しいシステムや制度(しくみ)を導入した際、「使いにくい」「考慮が足りない」・・といった不満・文句を言ってくる人がいます。システムや制度の導入推進の立場にいるスタッフからすると、うるさく言ってくる人は敬遠したくなりますが、ちょっと待ってください。その人は、敵ではなく、味方につけるべき人かもしれません。
 ただ単に文句を言いたいだけの人(所謂クレーマー)は別にして、初期にうるさく言ってくる人は、導入の意義や必要性を感じて、はやばやと使ってくれた人です。そして、そのシステムをもっと便利に使いたいからこそ、その不満・文句を言っているのです。意識の高いファーストユーザーと認識すべいなのです。その人は、初期採用者(アーリーアダプター)になってもらえる可能性があります。その人が味方になったら、導入に勢いがつきます。その人への対応を丁寧に行うことの大切さを、スタッフたるもの、強く意識すべきです。

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2-4.スタッフたるもの、ラインを意識して資料を作ろう


 改善を推進するスタッフは、さまざまな資料を作ることになります。時折、資料作りの姿勢として、少し気になる人に出会います。上向きの資料(上司、偉い人用)作りに時間をかけ、現場向けの資料を軽視しているスタッフです。たしかに、上の人に理解してもらう必要はあるのですが、その資料の枝葉末節の表現をどうするかで時間を浪費してはいけません。いわゆる"偉い人"は、実力があってその立場に昇格しているわけですから、理解力は高いはずです。上の人への説明はチャチャっと済ませましょう。一方、改善を実践する現場(ライン)には、いろいろ人がいます。繁閑度合いも違うし、理解力も違うし、抱いている懸念もいろいろでしょうから、それらに丁寧に対応することが大切です。スタッフたるもの、現場説明資料の良さに胸をはれるようになるべきです。

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>>前号 第3回「スタッフ概論③」はこちら

>>次号 第5回「スタッフたるもの論②」はこちら

>> 関連する研修:「貢献するスタッフの姿勢と心得の研修」

コンサルタントプロフィール

R&D組織革新センター シニア・コンサルタント
塚松 一也

塚松さん

R&Dの現場で研究者・技術者集団を対象に、ナレッジマネジメントやプロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとして、魅力的なありたい姿を真摯に構想し、現場の組織能力を信じて働きかけ、じっくりと変革を促すコンサルティングスタイルがモットー。
ていねいな説明、わかりやすい資料づくりをこころがけている。

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