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MOT:技術を核にした事業化展開
第1回:「経営課題と基本的な考え方」
 シニア・コンサルタント 細矢泰弘

■はじめに

 本コラムでは、著者 細矢 泰弘が、約40年の経営コンサルタントとして経験した「新商品・新規事業」のコンサルテイング事例から、原理・原則的なポイント、基本的な考え方・進め方を計12回に渡って連載します。

1.研究開発部門への経営からの要請課題

 JMACの R&Dコンサルティング本部では2002年、以下のような実態調査をしました。対象は経営企画部長・役員の方々で、①新たな事業機会創出のネタつくりと ②研究開発成果の早期化が主な課題でした。このあと何回かこのような調査をしていますが、この傾向はほぼ変わっていません。いつの時代も「事業化のネタと成果」が問われています。

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2.新規事業の基本的な考え方・進め方 ~事業化=顧客価値×差別化×売り~

 顧客価値に関しては、B TO B TO Cで対象顧客を定義することから始まります。
 顧客の定義の前には、対象事業ドメイン(領域)を決めなくてはいけません。原則的には自社が事業をしている周りが事業の範囲になります。差別化に関しては自社の強みが源泉で、技術・営業資産・事業部間シナジーと多岐にわたりますが、尖ったものが必要です。事業化で一番難しいものが、売りでどんなに差別性のある商品でも売れないことは数多く経験しています。売りに関しては、どのようなモデルを構築するかも大切で、ビジネスモデルもこのひとつになります。
 
 下図が、事業化の基本フローです。①ネタ探し、②事業化計画、③製品化プロセス(売りも含む)の3フェーズに分けて展開するのが基本です。
 
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 ①のネタ探しのフェーズは、マーケットニーズ側と技術シーズ側の両面からネタ探しを検討するのが原則です。
 
 ②の事業化計画では、仮説・検証の先行提案力大切で、マネジメント課題の第一位になっています。先行提案力ツールとして「仮想カタログ」を長年JMACでは開発・採用してきました。特に技術者にマーケティングしていただき、相手の技術者の潜在ニーズを引き出すことも必要と考えています。事業化の評価に関してはNPVや投資回収等いろいろな手法がありますが、決め手はないと思います。最後は本当にやる気のあるリーダーと役員がいるかが決め手になるのは間違いありません。
 
 ③の製品化プロセスに関しては、売るしくみをいかに作るかが大切で、これは簡単ではありません。B TO B事業では、最終的には技術に依存して、差別化技術が決め手になったことも多いと思います。一連の事業化プロセスを俯瞰的に見て、自社ができてる点、強化しなくてはならない点を客観的にみることが大切と考えています。
 
 では次回からこの図のプロセスに沿って、概要を解説します。

■執筆書籍・論文のご案内

『後発で勝つための研究開発・知財戦略の立て方、進め方』(技術情報協会 共著)
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コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
早稲田大学大学院非常勤講師
全日本能率連盟MC(マスターマネジメントコンサルタント)審査委員
細矢 泰弘

細谷さん

技術を核にした事業化を専門とし200以上の事業化をてがけてきた。リサーチ・提案だけでなく、研究開発からマーケテイング、コスト開発、生産技術まで一貫して支援し、キャッシュを回収するまでの"創って、作って、売る"実践を重視することである。技術特性をわかりやすい"顧客価値ことば"に変換して経営者と技術者の橋渡しと 技術者の事業家育成をライフワークにしている

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