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  3. 新規事業アイデア立案時のポイント第3回:新規事業創出ワークショッププログラム紹介チーフ・コンサルタント  栗栖 智宏

新規事業アイデア立案時のポイント
第3回:新規事業創出ワークショッププログラム紹介

チーフ・コンサルタント  栗栖 智宏

はじめに~

 前回は、新規事業企画立案に関するポイントをお伝えしました。
 今回は、新規事業初期アイデアを発想する際に重要なポイントをご説明します。

1.新規事業初期アイデア探索とは ~事業理念≒何に挑戦するのか?~


 新規事業アイデアを発想する際に重要なものが、「なぜ、この新規事業が世の中に必要であるか」という事業理念です。事業理念と言うと、非常に観念的、抽象度が高く聞こえるかもしれません。しかし、新規事業創造は、得てして世の中にまだ存在しないプロダクトを創り出しお客様に評価を得る活動です。そのプロセスは困難の連続です。この困難に立ち向かい乗り越える為には、この新規事業が世の中、お客様に必要であると考える揺るがない事業理念が不可欠になります。

 この事業理念を構成するものが、「社会の課題」、「顧客の課題」、「自社の強み」です。
昨今、SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の17の目標を掲げる企業も増えているように、新規事業の起点は、社会の課題への着目です。社会の課題の中で、対象事業ドメインにおける顧客の課題を特定します。この顧客の課題を自社の強みを活かして解決し、社会の非効率や問題を解消する試みが新規事業創造活動です。起業家精神とも言い換える事が出来ます。

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2.新規事業アイデア発想の起点はパラダイムシフト


 それでは、具体的に社会課題の洞察方法を見ていきましょう。新規事業創出のアプローチは大きく2つです。つまり、「新しいテクノロジーの登場」と「社会・市場の変化」です。この2つが世の中に新規事業を生み出す変化の起点となります。新しい技術の登場は、今まで解決できなかった問題を解決します。通信環境とモバイルツール、動画配信アプリケーションの性能向上は、これまでのオフィスワークからテレワークへと新しい働き方を実現しました。一方、社会・市場の変化は世の中に新しい問題を生み出します。テレワークの普及により、在宅で仕事を行える様になった一方で、社員間のチームワークの醸成が難しいなど、新たな問題が提起されています。

 新規事業検討でよく見かける落とし穴は、世の中のバズワードに引っ張られ、発想が広がらない状況です。数年前は、AIやIoTが新規事業のテーマに掲げられていました。しかし、AIやIoTは、解決手段であり、それ自体のみでは事業になりません。着目すべきは社会の課題であり、顧客の課題です。これまで解決できなかった問題は何か。新たに生まれて来た問題は何か。これをAIやIoTを用いるとどの様に解決できるか。と考えることが重要です。発想の起点は常に世の中の非効率、問題の解決にあります。

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 しかし、成熟社会において新規事業のタネは簡単に見つからないのではないか。という声を聞く事があります。確かに成熟社会では製品、サービスが溢れ、新規事業アイデアの発想は行いにくいというのは、事実かと思います。つまり、今の時代の問題は解決されている状況だからです。この時に適用する考え方がパラダイムです。

 旧来のパラダイムで多くの企業が企業努力を進め、洗練された製品、サービスが提供されています。この旧来のパラダイムでは、問題はほぼ解消されている為、新規事業発想は困難です。よって、新しいパラダイムに着目します。つまり、解決されずに残されていた問題を、新たな技術を適用して解決できないか。または、環境変化により新たに生まれてくる問題を解決できないか。と言う発想で新規事業アイデアを考えます。

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3.パラダイムの変化を捉えるPEST分析


 パラダイム変化を捉える基本的な分析視点はPEST分析です。PEST分析は、「政治 (Politics)」、「経済(Economics)」、「社会(Society)」、「技術(Technology)」の分析視点の頭文字をとったものです。政治の変化は政策・規制緩和に象徴されます。市場ルールの変化は新たな市場を生み出します。経済・消費動向の変化は、新型コロナウィルスによる巣ごもり消費によるEC市場の成長に代表される様に、バリューチェーンに革新が生まれます。また、人手不足など人口動態変化は需給バランスのギャップを生み出し、市場機会となります。そして、新たな技術は競争のルールチェンジを生み出します。例えば、自動車業界で「CASE」Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)と呼ばれる新技術の登場は、自動車業界の外からの新規参入を可能とします。

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4.新規事業アイデアを1000個出す


 本稿では割愛しますが、実際の、新規事業アイデア検討時には各種発想法を用いてアイデアを出していきます。この様な活動をすると、「新規事業アイデアを何個出すと良いのですか?」という質問を良く受けます。答えは1,000個です。もちろん、実際に1,000個のアイデアを出す事が目的ではありません。真の狙いは、アイデアを出す為の情報と視点の組み合わせの数を増やすことです。実際に新規事業アイデアを書き出すと、誰でも10個程度のアイデアを発想することが出来ます。しかし、それ以上のアイデアを出そうとすると発想が止まります。これはアイデア発想法が悪いのではなく、アイデアを出す為の情報が不足しているからです。

 よく、私はアイデアマンではない、柔軟な発想が出来ないと諦めの声を聞きますが、単純に持っている情報が不足しているからアイデアが出ないのです。新しい情報を得る為には、実際にお客様の現場に足を運び、現地、現物、現実を見る事が重要です。また、その分野の有識者や研究者など、知見を豊富に持つ方にヒアリングする事も有効です。そして、何よりその分野の社内での第一人者と言える程、文献情報を読み込む事です。ここまで取組むと、アイデアは自然と出てきます。さらに複数のアイデアを組み合わせることで、アイデア数は倍増します。アイデアは情報の組み合わせです。組合せのパターンを自分の頭の中で形成する。さらに新しい情報に出会う。アイデア発想の好循環が出来上がります。

 今回紹介したアプローチにより、事業理念に基づいて、対象事業ドメインにおける次のパラダイムの課題を想定し、筋の良い新規事業アイデアを発想する事が可能となります。

 次回は、今回発想した新規事業アイデアを練り上げ、新規事業企画に仕立てていく方法を紹介します。

>> 栗栖 智宏 のコラム 前号(第2回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

経営コンサルティング事業本部 
チーフ・コンサルタント
栗栖 智宏

チーフ・コンサルタント 栗栖さん

2006年にJMAC日本能率協会コンサルティング入社以来、製造業を中心に100社以上の改革活動を支援している。
経営計画や事業計画策定を中心に、多数の収益改革や業務プロセス改革の支援実績を有する。また、新規事業創出支援も手がけるなど、事業全般のテーマに対するコンサルティングを展開中

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