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Withコロナ/Afterコロナ時代の「新しい学びのスタイル」とは
第5回: 研修からラーニングデザインへの進化と真のLMS構築

チーフ・コンサルタント  小河原 光司

■人材育成は「ラーニングデザイン」の時代へ

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 4月からの新入社員の入社を控え、新入社員研修をはじめとして、2021年のトレーニングを企画・スタートされる企業も多いかと思います。ここ数カ月、弊社サービスを提供している企業の方とディスカッションをしている中で感じていることは、「LMS(ラーニングマネジメントシステム)」という言葉が、ずいぶん一般的に使われるようになった、という点です。

 COVID-19の終息状況に対する緊急事態宣言の動向に関わらず、「リモート環境での“学び”」という『学習場所、学習時間制約の排除』は、今後の研修をはじめとした、人材育成においてスタンダードとなってゆくことを「LMS」という言葉の普及に感じ取ることができました。

 しかしながら、筆者は同時に危惧も感じております。現在よく耳にする「LMS」という言葉が、「トレーニングの学習進捗状況を管理したり、課題管理をしたりする“効率的な研修を運営するための”情報システム“」という目的で使われており、筆者が考えるLMSが目指す目的とゴール、にギャップがあるためです。
 
 LMSという言葉は、情報システム導入をすることではなく、人材育成担当者に対して、今後の「あるべき人材育成プロセスの再設計」を求めることへと繋がってゆく潮流の支流として捉えるべきと考えています。
  
 本稿は、上記のような潮流を前提として、「リモート」活用を前提とした、新しい人材育成スタイルのあり方としての「ラーニングデザイン」についてお伝えしたいと思います。
それでは、ラーニングデザインとは、どのような諸活動を言うのでしょうか。

 筆者は、ラーニングデザインの定義を
「様々なトレーニング方法を駆使し(ブレンデッドラーニング)、人材育成を動態的に捉え(BOA型)、継続的に事業活動に資する学びを提供し(育成プラットフォーム)、事業成果を創出する(育成ROA)一連の諸活動」
 と、説明をしています。

 本稿を通じて、人材育成における新たな潮流と、その流れを統合した「ラーニングデザイン」の構築に向けた、具体的な活動推進に向けたポイントを押さえて頂けばと思います。

■「ラーニングデザイン」とは

 「ラーニングデザイン」というと、なんだか難しそうな感じがするかもしれませんが、ご心配は不要です。先程、ご確認頂いた、ラーニングデザインの定義を要素分解することで、理解が進むのではないかと思います。

 人材育成の目的はそもそも何でしょうか。その目的は、定義の中にある「事業成果を創出する」こと、つまり、人材育成への投資に対するリターンである事業成果への貢献度を最大化する(育成ROA)ことにあります。

 次に、「育成ROI」を最大化するために必要とされるのが、継続的に事業活動に資する学びを提供すること」つまり、一過性、部分的ではない、階層(職能)×機能(部門)×OJT/Off-JT間が包括された人材育成の仕組み・ルール作り(BOA育成プラットフォーム)を構築することです。
 
 そして、「育成プラットフォーム」を動かすメカニズムが、「(狭義の)BOA」と「ブレンデッドラーニング」という駆動装置になります。
 「BOA」に関しては、本コラムの第1稿にてご説明をしておりますので、詳細は割愛致しますが、トレーニングを事前学習(Before)‐オンサイトトレーニング(On)‐事後学習(After)にて設計し、本来的な学びのサイクルを意図的に組み込んだトレーニングコース設計および人材育成プロセスを設計することです。
 
 また、「ブレンデッドラーニング」とは、レーニングの中身を“Hear”、“See”、”Say”、”Do”という4要素が含まれたものにするために、課題図書の提示、動画の視聴、課題の作成、グループディスカッション、などさまざまなトレーニング方法を最適に組み合わせることにあります。

 つまり、ラーニングデザインとは、
「事業成果を創出する」ための人材育成の仕掛けとしての「育成プラットフォーム」を構築し、「BOA育成プラットフォーム」を動かす駆動装置としてのエンジンである「(狭義の)BOA」「ブレンデッドラーニング」なトレーニングを実施する、ということになります。

■「ラーニングデザイン」検討・構築のポイント

 見てきたように、ラーニングデザイン設計してゆくためには、

 

①事業成果を設定し、人材育成目的・目標を設定する(育成ROI)こと
② 研修だけではなくOJTなど他の人材評価・育成のプロセスを統合した動態的な人材育成の仕組み、体系(BOA育成プラットフォーム)を構築すること
③仕組みを動かすための駆動装置を高度化する((狭義の)BOA、ブレンデッドラーニング)こと

 の3つの企画設計および構築活動が必要となることがご理解頂けたかと思います。

 そして上記3つのポイントを、「活動範囲の大きさ」より再度確認して見て下さい。

 そうすると、
 

③は、トレーニングコースの1つ1つの有効性向上の活動
②は、トレーニングコース間の関係性を最適化する活動
①は、トレーニング全体を実務上の成果と連動させる活動

 という文脈が見えてきたのではないでしょうか。

 この文脈が理解できれば、なぜ「人材育成」がトップマネジメントの課題としてこれまで上がってこなかったのか、という問題点の本質が理解できるようになります。
 
 一つの例を挙げてみましょう。昨今、ブレンデッドラーニングという言葉をよく聞きますし、その重要性も叫ばれていますが、ブレンデッドラーニングを検討、実装したことで、研修成果が劇的に改善した、というような話は、筆者はあまり耳にしません。ブレンデッドラーニングとはトレーニングの提供方法を集合&聴講スタイルから変更することを意味しているだけ、つまりは、③の範囲の活動であり、③の領域だけでは、個々のトレーニングを改善するに過ぎないからです。

 トップの経営マターとして「人材育成」を「売上拡大」や「設備投資」といった経営課題と同レベルに持ち上げてゆくためには、上記②①の活動を推進し、特に、トップマネジメントに対して①の活動を説明し、納得が得られること、つまり、人材育成と事業成果との因果律を明らかにしてゆくことが必須となるのです。

■情報システムではない「真のLMS(継続的な人材育成マネジメントシステム)」の構築


 ここまで読み進めて頂くと、「ラーニングデザイン」とは人材育成機能における継続的なマネジメントシステムとしての"真のLMS(ラーニングマネジメントシステム)"を構築する、に他ならないことが再度、ご認識頂けたのではないでしょうか。

 読者の皆さまの中には、これまでもこのような議論はしてきており、目新しさはないと感じられる方もいるかもしれません。筆者は、そのように感じた方にこそ、現在の事業環境が、この長年の課題を解決する成立条件が一気に整備されたということをぜひご認識頂きたいと思っています。

 これまでは、理論的にはわかっていてもこのようなマネジメントシステムの構築は困難を伴いました。しかしながら、コロナ禍を受けて、人材育成に対する情報システムとしてのLMSは普及してきています。だからこそ、LMSを単なるトレーニング管理のオペレーションシステムとして捉えるのではなく、人材マネジメントシステムとして捉えるのか、により大きな差異が生まれます。

 まずは、ラーニングデザインの観点からあるべき人材育成の姿を描いてみてください。描いてみることではじめて、人材育成部門として本質的に何をすべきか、が見えてきますし、どのような機能、業務に対して情報システム的な支援が必要なのか、洞察が可能となります。

 皆様にとって、情報システム導入ありきで、個々の研修管理を楽にすることがゴールではないはずです。実行可能なことをスモールスタートすることも大事ですが、ゴールから、バックキャストした場合から見てどのように位置づけられるのか、を見極めることも継続性の観点から見ても重要になると思います。

 弊社JMACでは、研修トレーニングに関わる企画・実施に関わる様々なサービスを提供しております。ご興味のある方、お悩みのある方は、無料相談会も随時開催しておりますので、ご連絡を頂ければと思います。

 本稿が人材育成に携わる皆さまの一助になれば幸いです。

⇒ 「with/after COVID-19時代の「新しい研修・学習スタイル」提供に向けた実態調査」セミナー動画の視聴はこちらから

>> 小河原 光司 のコラム 前号(第4回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

ラーニングコンサルティング事業本部
チーフ・コンサルタント
小河原 光司

小河原さん

経営者目線の戦略推進と現場の制約条件双方から見た「実現可能な戦略の実行」に対するコンサルティングと成果創出型の実践研修を支援している。
上場小売業において、商品本部長兼事業開発室長として事業構造改革を主導し収益改革を実現した経験を持つ。  
現在、事業開発室長としてリモートコンサルティング・研修の開発と普及を推進中。
ラーニングマネジメントシステム構築を主導する第一人者でもある。
中小企業診断士

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