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  3. 事業開発実践力養成研修 第1回:新商品・新事業開発の基本的考え方シニア・コンサルタント 池田 裕一

事業開発実践力養成研修
第1回:新商品・新事業開発の基本的考え方
シニア・コンサルタント 池田 裕一

1.新しい事業への取り組み

 企業にとって、新商品・新事業は成長のための重要な課題です。
 長期ビジョンや中期経営計画で、新商品・新事業の開発が重点課題として位置付けられていることはどこの企業でも多いのではないでしょうか。
 
 企業各社では、既存事業がすでに成熟化、またはマイナス成長で、既存事業だけでは成長が望めなくなっている場合、新商品・新事業開発への投資の重要性が帯びてきます。成熟市場にあってマーケットシェアの低い企業では、既存市場でのシェアを高めることは難しく、成長している新規市場に活路を見出すことが求められています。
 
 マーケットシェアが高い企業であっても、既存事業が維持できている間に成長している市場に軸足を変えていくことで持続的な成長を図ることが出来るでしょう。
 
 つまり新商品・新事業を開発推進していくうえでは、これから述べる原則に基づいた戦略と実践が不可欠と言えるのです。


原則①-成長分野に身を置く
事業を成長拡大基調に変えていくには、自らの軸足を成長分野にシフトすることが重要です。
たとえば、材料メーカーでは、これまでの産業材から二次電池材料や医療材料に重点領域をシフトさせている例は多いです。

原則②-変化がチャンス
市場環境や顧客のニーズは常に変化する、競合も常に変化しています。
そうした変化こそビジネスチャンスになるのです。変化を的確に捉え、客観的判断に基づいて戦略を決定するためには、日頃から市場や競合のデータを収集し分析することが大切です。

原則③-市場を創るもの
成長企業では、独自のコンセプトで顧客を魅了し固定客を拡大しているケースが多く見られます。
つまり、自社の独自性により新しい価値を創造し、その価値に基づいて市場や顧客を創造しているのです。成長企業では一歩も二歩も先に踏み出して市場を創っていると言えるでしょう。

原則④-自らアクションを起こす
顧客の価値観や産業構造の変革などをいち早く察知し、先手先手で事業展開していくことが必須です。
誰よりも早くビジネスチャンスをつかむには、自らの積極的なアクションが求められます。たとえ自らが開拓した市場であっても、競合はすぐに出現します。競合の動向を見通し、常にスピード感あるアクションを起こしていくことが重要と言えます。

2.新商品・新事業開発のための10の基本

①強み伝い
自社の強みなくして新商品・新事業は成功しません。自社の強みを十分に認識し、強み伝いに新商品・新事業を発想しましょう。

②技術を価値に変換する
顧客にどのような機能(価値)を提供できるか、絶えず技術を機能に置き換えて新商品・新事業を発想しましょう。

③顧客起点
顧客のニーズを理解することなしに新商品・新事業は生まれません。顧客の実態を理解することが出発点となります。

④顧客の問題解決
事業創造とは顧客の問題解決です。新商品・新事業を発想・提案するにあたっては、顧客の問題解決の視点から検討を行います。

⑤マーケットに近いところで発想する
新商品・新事業はマーケットに近いところで生まれるのが定石です。判断に困ったら常にマーケットを見る、マーケットの声を聞く、マーケットで確かめるなどの行動習慣をつけましょう。

⑥仮説・検証
顧客に適用が想定される新商品・新事業アイディアを考えて(仮説)、それを顧客に提案し、検証していく提案型のアプローチを活動の基本とします。

⑦KFS (Key Factors for Success)を知る
どの事業にも押さえておかないと成功しない事業のツボがあります。既存事業では意識しなくても各部門がKFSを押さえているが、新商品・新事業の場合KFSが変わることが多いです。よってKFSを早期につかむことが成功の早道となるでしょう。

⑧必然性の高い新事業の創出
新商品・新事業は自社の都合だけでは成り立たちません。顧客にとって、社会にとってどのような意義があるのか、自社、顧客、社会にとって必然性の高い事業であればあるほど成功し、長続きします。

⑨必ず特色を入れる
事業開発にあたり独自性、特徴、新規性を常に意識しましょう。競合がいる場合は差別化を心がけてください。
オンリーワンの事業は、特色をさらに追及します。特色は、よりすぐれた製品・サービス、新たなマーケティング手法の導入、新たなビジネスプロセスの導入などがあります。

⓾トップ・社内の巻き込み
新商品・新事業は経営の重点課題であり、全社の総力をあげて取り組むべき課題です。新商品・新事業の推進部門・担当は意識的にトップや関連部門を巻き込んで組織的に展開しましょう。

3.新商品・新事業開発のためのステップ

 新商品・新事業開発へのチャレンジは、下表に示すようにステップを設定し、ステップごとに実行する項目を明確にして進めることが最も有効です。
 また、ステップごとに意思決定のポイントを置いて、GO/STOPの判断とともに方向性の検討や見直しを行いながら進めていく必要があります。

 ステップ1は新商品・新事業開発のガイドラインの設定です。
 いきなり「何か儲かるものはないか」と探して、結果「自社の方向性と合わない」「自社の特性に合わない」として却下されるケースが多々あります。自社が新商品・新事業を行うにあたって、前提や方向を明らかにし社内で合意形成することが大切です。

 ステップ2は新商品・新事業を探すステップです。
 ここでは情報収集を十分に行い幅広くビジネスチャンスを集め、新商品・新事業を発想します。

 ステップ3は探した新商品・新事業を企画するステップです。
 「自社としてどのような新商品・新事業にしていきたいか、どれぐらいの新商品・新事業にしていきたいか」を企画構想します。

 ステップ4は企画した新商品・新事業を開発し、事業化の準備を行うステップです。
 市場開発、商品開発の実務を経て市場実証を繰り返しながら市場参入を果たします。
 
 次章からは各ステップに沿った進め方、分析の方法を示していきたいと思います。

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コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部 技術戦略センター
シニア・コンサルタント
池田 裕一

池田さん

機械販売会社の財務部門を経て、1990年(株)日本能率協会コンサルティングに入社。
以降、メーカーやサービス業を対象とした新製品・新規事業探索、開発テーマ設定、新製品・新規事業企画、新事業評価などのコンサルティング、研修、講演にあたる。
著書「新規事業・新用途開発技法とテンプレート」日本能率協会総合研究所「開発者のためのマーケティング」同文館出版など

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