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「R&D組織・チームを変えていくためのインターナル・コンサルタント養成のヒント」
第5回:ICとチームが一体となった開発プロセス変革への挑戦

コンサルタント 仁木 恵理

■はじめに

 第4回コラムでは、ICとチームの関係性の変化といった観点からICとチームの変革ドラマをご紹介しました。
 第5回はJMACとICの支援によって、チーム主体で仕事の進め方や開発プロセスを変えていった変革ドラマについてお話をします。

1.開発プロセスを変えていくことに対するメンバーの受身姿勢の悩ましさ

 私たちの支援先である開発プロジェクトチームは、厳しい顧客要求に応えるために、仕事の進め方や開発プロセスの変革をチームが自律的に進めていけるようになる必要がありました。当初はリーダー、マネジャーが中心となり開発プロセスの理想的な状態を描き、トップダウンで変革を進めようとしていました。
 
 しかし、メンバーの腰は重く、これまでのやり方を変える事に抵抗を示す人もいました。メンバーは開発プロセスを変えなければならない背景や目的の理解が不十分で納得感が持てず、むしろ、やり方を変えることによるデメリットの方を強く感じていたためです。早急に変革に着手しなければならないにも関わらず、メンバーが受身姿勢であることに対して、リーダーの不安と焦りは募るばかりでした。

2.営業マネジャーからの背景情報のインプットによる納得感の醸成

 そこで、ICの働きかけにより、営業マネジャーも巻き込んで、チームを取り巻くビジネス環境の変化やそれに伴う経営陣の危機感といった背景情報をインプットしてもらう場を仕掛けることにしました。まずはチームメンバーが認識している、背景、目的、目標を書き出し見える様にすることで、全員の共通認識をつくっていきました。加えて、リーダーも把握しきれていない経営的な情報やチームへの期待を営業マネジャーからインプットしてもらい、不明点や懸念を質疑応答によって解消しながら、開発プロセスを変えることに対するメンバーの機運を高めていきました。

 「これまで目の前の技術開発にしか目を向けていなかったが、ビジネス環境の変化から背景を紐解いて理解できたことで、開発プロセスを変える意味合いに気づくことができた」というメンバーの気づきもあり、徐々に納得感が醸成されていきました。

3.チームの頭のなかにある課題を見える化し、新たなプロセスの納得感を高める

 しかし、これでメンバーの行動が大きく変わったわけではありませんでした。そこで、次の一手として、これまでの開発のやり方をチームで振り返る場を仕掛けることにしました。まずは、皆で改善すべき点や課題をできるだけたくさん出していきました。

 「これまでは工程毎に分担していて一人がひとつの工程だけをやっていればよかった一方で、工程間の連携課題が多く発生してスケジュール遅延が起こっていたこと」
 「工程間の連携箇所が多いため、すべての連携課題をすぐに潰し切れないこと」
 「若手が多いにも関わらず、ひとつの工程しか経験できないとなると技術者としての成長スピードが遅くなってしまう懸念があること」など、メンバーから多くの生の声があがってきました。

 課題が見える様になったことで、これまでのやり方では顧客要求を満たすことが難しいということにメンバーが”自分たちで”気づきはじめます。そこで改めて、上位が描いていた“ひとりがひとつの小テーマを担当し、すべての工程をひとりでやりきる一気通貫”の新たなプロセスを眺めてみると、「確かに顧客の要求するスピード感に対応するためには、プロセスを変えていくことが必要だし、効果的だ」とプロセスを変えることの意味合いや効果を、自分ごととして実感できるようになりました。

4.知恵集めによって自分たちで新プロセスの定義や方針を決めていく


 次に、動機づいたメンバーたちから出てきたのは、「どうやって新しいプロセスに変えていくのか」、「そのためには自分たちの仕事のやり方をどう変えていかないといけないか」といったことです。
 そこで、ICがリーダーと相談し、新しいプロセスで仕事を進める際の不安や懸念の吐き出しをチームで実施しました。そこでは、以下のような自分ごとの懸念が吐き出されました。

「これまでは1つのやり慣れた工程だけをやっていればよかったけれど、これからは前後工程も含めてやり方を覚えないといけない」
「最初にある程度アウトプットイメージや仮説を議論してすり合わせておかないと、それぞれが勝手に進めて最後に整合性がとれなくなると手戻りが発生しそうだね」
「進めていくなかで誰に相談すればよいのか分からないと抱え込みそう」

 それらをリーダーが拾い上げて、ひとつひとつミーティングのなかで議題化し、丁寧かつスピード感をもって検討を進めていきました。そのなかで以下の点をチーム主体で決めていきました。

 ・各テーマを一気通貫で進めていく際の共通のマイルストーンの定義
 ・各マイルストーンを通過できる基準の設定
 ・進捗の見える化とアラートの出し方

 また、仕事の進め方としては以下のような共通認識をつくっていきました。

 ・テーマの早い段階でアウトプットイメージや仮説ストーリーをチーム全員で議論して、知恵集めをすること
 ・担当するテーマにおける懸念や不安は、早い段階で出し切って、解消してから開発のスタートをきること
 ・開発がスタートしてからは、進捗会議やアラートを効果的に使うことに加えて、個人が必要と思えば、
  タイムリーに最適な検討単位で議論の場を仕掛けること

 ICが日常のチームミーティングに入り込んで、短い期間で何度も課題の吐き出しの場をもうけ、課題を出し切ったことで、上から与えられたプロセスではなく、チームメンバーが納得感ある"自分たちの開発プロセス"を定義することができたのです。

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5.各人各層のワンランクアップとビジネス成果創出


 自分たちで決めた方針やマイルストーンに則って、メンバーは開発を進めていきました。早い段階での知恵集めにより、確実に仕事の質とスピードがあがっていきましたし、進捗とアラートが見える様になったことで、マネジャーがタイムリーに手を打ちやすくなりました。

 また、節目でプロセス自体を振り返り、柔軟に変えていくことでプロセスを進化させることにもチャレンジしています。

 その結果として、若手メンバーの力量があがり、重要テーマのリーダーに登用されたり、リーダーが社内で高く評価されたりするなど、各人各層がワンランクアップしていきました。

 最終的には、開発アイテムを納期通りに顧客の要求水準に到達させることができ、自社の提案が採用されるといったビジネス成果創出につなげることができました。
 これらの成果は、JMACはより経営的な目線から全体を俯瞰する役割に注力し、ICはよりチーム密着で個別課題解決に注力する役割分担をすることで、実現できました。
 この事例のように組織変革とIC養成を同時に連動して行うことによって、成果を生み出せるのです。


 第5回は、ICとチームが一体となった開発プロセス変革への挑戦についてお話をしました。
 最終回である次回は、チームの変革の取り組みの継続発展や、変革ナレッジの資産化、他部門への横展開におけるICの役割発揮の仕方や事例についてお話をします。 

>> 関連する研修「技術KI見える化とワイガヤ基礎研修」

>> 仁木 恵理 のコラム 前号(第4回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

コンサルタント
仁木 恵理(にき えり)

仁木さん

2010年にJMAC入社以来、主にR&D部門の組織変革や技術KI活動、チームやプロジェクトのマネジメント力強化、企画提案力強化を中心にコンサルティング経験を積む。
最近は、"変革し続けられる組織文化の醸成"を目的としたインターナル・コンサルタントの養成に力を入れている。
コミュニケーション、ファシリテーション、ダイバーシティといったテーマで新人から管理職まで幅広い研修実績がある。

臨床心理士というバックグラウンドを活かして、ひとりひとりと向き合い、多様性を尊重した適切な関わりやフィードバックを行う。また、フィードバックによって、人の自己効力感を高め、「わたしならできる!」と一歩を踏み出すことを促していく活動スタイルを大切にしている。

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