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MOT:技術を核にした事業化展開
第6回:仮説・検証ツール~仮想カタログの作成~
シニア・コンサルタント 細矢泰弘

■はじめに

 本コラムでは、著者 細矢 泰弘が40年経験した新商品・新規事業のコンサルテイング事例から原理・原則的なポイント、基本的な考え方・進め方を計12回に渡って連載します。
 今回は「仮説・検証ツール~仮想カタログの作成~」についてお話しします。

1.カスタマーフォーカス(Customer Focus)

 この言葉は、欧米のテクノロジーマネジメントの領域ではなじみ深い言葉です。顧客を定義し、顧客の潜在ニースを引出しそこから技術課題解決を図ることを目的にします。JMACのRD部門では、30年ほど前からこれを提唱し、一番使われてきた手法です。
 以下にコンサルテイング手順を示します。事業には「自らのビジョン」が中核を占めます。ビジョンに関しては、「単なる金儲け」だと「力強い思い」に発展しない感覚があります。我々の描く事業の顧客は誰か、真のニーズ・貢献価値はなにか、心の底から納得できるものが必要です。そしてそれに対する差別化提案と技術課題解決・売れるストーリーはなにかシナリオ化することが必要です。JMACでは、このときの先行技術開発テーマの抽出を特に重要視ています。そのためには先出しで顧客に提案し、そこから顧客の声・リバウンドを拾い、技術開発テーマを検討します。

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2.仮想カタログの作成( Creating a Virtual Catalog )

 下図にフォーマットを示します。構造は点線より下が顧客に示す部分で、上の部分が社内説明用です。社内では、事業の目的がまず大切で、「なぜこの事業・商品化」をやるかをシンプルに記述する必要があります。前提条件は事業が成り立つ条件で法規制の変化とか、制約条件がある場合は記述します。左側列にあるのが、顧客価値を訴求する項目で、セールスポイント、セールストーク、コンセプト、顧客メリットを記述します。最下部は差別化ポイントで、特許優位性とか自社の強みを記入します。右側の実現方法は、技術、コスト、売り方が入ります。

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 これらを想定顧客に実際にもっていき、顧客との議論から潜在ニーズや背景を検討します。実際の場面では、初回はまずニーズを聞くのが精一杯で、顧客との関係の第一歩からスタートします。
 
 JMACの通説として、自らの提案がないお客さまニーズ理解は、

・声の大きいお客に振り回される
・過剰な努力目標(仕様)による困難な開発を強いられる
・結果的に、一品開発となり効率が悪くなる    

 というのが代々コンサルタントに受け継がれてきたキーワードです。

■執筆書籍・論文のご案内

『後発で勝つための研究開発・知財戦略の立て方、進め方』(技術情報協会 共著)
『技術の事業化 新商品・新事業のための技術活用テクニック』(アマゾン 共著)
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『IEEE国際会議 PICKMET'14 Customer Value Method』他

>> 「第5回:事業化のネタつくり ~事業領域(ドメイン)と対象製品の検討~」はこちら

コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
早稲田大学大学院非常勤講師
全日本能率連盟MC(マスターマネジメントコンサルタント)審査委員
細矢 泰弘

細谷さん

技術を核にした事業化を専門とし200以上の事業化をてがけてきた。リサーチ・提案だけでなく、研究開発からマーケテイング、コスト開発、生産技術まで一貫して支援し、キャッシュを回収するまでの"創って、作って、売る"実践を重視することである。技術特性をわかりやすい"顧客価値ことば"に変換して経営者と技術者の橋渡しと 技術者の事業家育成をライフワークにしている

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