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「役員研修3つの提案」
第1回:社力を上げる役員研修とは
シニア・コンサルタント 飯田 真悟

■はじめに~

 JMACは、ご存知のとおりコンサルティング会社です。ガバナンスや内部統制を含む、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
 
 そのようなサービスの一環として「役員研修」も数多く手がけさせていただいています。これまでのコンサルティング経験や役員研修を通じ、役員研修についてお悩みの方々に、本コラムを通じて「会社力を上げるために役員研修について3つの提案」をさせていただきます。

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(1)基本用語の共通認識と背景の理解

① 基本用語の共通認識はできているのか
 コーポレートガバナンスに関し内部統制、リスク管理、コンプライアンス、CSR等さまざまな用語が飛び交っています。役員の方々が、これらの基本用語について共通認識した上で、議論がなされることは会社力を上げるために不可欠ですが、貴社の役員の間で共通認識は、できていますでしょうか? 

 例えば、「内部統制」という用語ですが、これはもともと監査の専門用語です。それが時代の流れと共に、その定義の範囲を広げてきているため、とても分かりにくい用語になっています。様々な識者が、それぞれの専門的立場から個々の用語について解説しているため、少しでも勉強された役員の方々は、下記のような素朴な疑問を持たれると思います。

・コーポレートガバナンスと内部統制は、どんな関係にあるのか?
・リスク管理とコーポレートガバナンスや内部統制との関係は、どうなるのか?
・コンプライアンスは、そもそも法令遵守と理解してよいのか?
・コンプライアンスとCSRの意味は同じなのか、全く異なるのか?

 まずは、役員の方々がこれらの基本用語について、共通認識を持たれることが重要と思います。



② 何が何故、役員の方々に求められているか、その背景を理解する
 これらの基本用語について、その意味や相互の関係を理解することは、役員同士が価値ある議論をするために不可欠です。しかし、それぞれの内容について細かな内容を理解することは、役員にとって重要ではありません。大事なのは、なぜ、何が役員に求められているのか、その背景を理解することです。
 
 そのためには、まず株式会社制度そのものが持つ、メリットとデメリットを理解することが重要です。株式会社制度は人類が生み出した最大の知恵とも言われています。確かに、経済が大きく進展してきたのは、株式会社制度の恩恵と言えます。その一方で、株式会社には本質的な課題を抱えていることを理解することが重要です。
 
 株式会社制度は、オランダ東インド会社が誕生して以来、400年の歴史があります。400年の歴史の中で、この株式会社制度が持つ課題を解決するために、人類は様々な知恵を生み出し、現在も課題解決に向けた戦いが続いています。
 
 そもそも株式会社が持つ本質的な課題とは何なのか。その本質的な課題を克服するためにどのような解決手段を生み出してきたのか。また、どのような環境変化が、どのような課題を新たに株式会社に投げかけているのか。役員の方々には、ぜひこのような背景を理解いただいた上で、役員として何が、何故、求められているかを理解いただくことが重要と考えます。

(2)考える研修

 役員研修にとって重要なのは、単なる知識研修ではなく、自ら考える研修です。考えると言っても、素材が無ければ具体的に考えることはできません。しかしありがたいことに、役員研修の素材には事欠きません。

 最大の学びは、自社の失敗経験から学ぶことです。世界的なベストセラーになった「失敗の科学」(マーシュ・サイド著)には、世の中には失敗から学習する組織と、学習できない組織があり、失敗から積極的に学ぶことができる組織や人が、究極のパフォーマンスを発揮できると記載されています。失敗から学ぶことが、いかに難しいかを語っています。

 前向きな失敗を奨励し、失敗を共有できる会社になると更に素晴らしいと思いませんか。当社には自慢できるような?失敗などないという会社もあるかもしれません。しかし、心配無用です。特に、ガバナンスやコンプライアンス問題に関しては、たくさんの他社失敗事例があります。これらを事例に、自社として学ぶべきことは何かを教訓抽出していただくことが重要です。自社や他社の失敗事例から学ぶべきことは何かを、ディスカッションいただき、役員自らが、相互研鑽する研修はいかがでしょうか。

(3)実践研修


 過去の事例や、他社事例から学ぶとともに、研修方式で実践的な課題検討を行うことをJMACでは「実践研修」と呼んでいます。実践研修は日頃、会社の問題解決を支援している、コンサルタントとしての腕の見せ所でもあります。

 なにせ短い時間の中で、役員の方々の知恵と経験を結集し、課題と対策の仮説までを設定する必要があるからです。そんな実践研修のテーマとして、挙げられるのが「会計研修」と「コンプライアンス研修」です。


1)戦略会計研修
役員に不足している知識として、必ずあげられるのが財務・会計知識です。
お歳もそれなりの役員の方々に、今更とは思うのですが、役員としてぜひ知っておいていただきたい財務会計知識は2つだけです。


①銀行や機関投資家は会社をどう評価し、何を課題と考えているのか

 銀行や投資家は、企業の内部事情に詳しい訳ではありません。そんな彼らにとって、財務諸表や株価情報は会社を理解する為の、極めて重要な情報となります。
 彼らは、財務諸表から何を読み取り、何を判断しているのかを貴社の財務諸表を使い学びます。
 
 具体的には、貴社の財務諸表や株価情報に基づき、弊社の方で必要な分析資料を準備し、その診方や分析の考え方を説明します。その上で、グループディスカッションにより、銀行や機関投資家が自社をどのように評価し、何を課題と考えているかをまとめていただきます。


②財務諸表から戦略を読む

 財務戦略から戦略を読めるのかとの疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
もちろん読めないこともあるのですが、皆さんが思っている以上に読めることもあります。
 
 キャッシュフロー計算書からは、財務戦略を読むことができます。財務戦略とは、会社が生み出した資金である営業CFを、将来のためにどのように使っているかを把握することです。稼いだ資金と使い道は3つしかありません。借金の返済、投資、そして株主還元です。キャッシュフロー計算書を分析することにより、自社は財務戦略として何を重視してきたかを把握することができます。

 仮に、財務戦略として積極投資を行ってきたとしたら、次に知りたいのがどの事業に積極投資してきたのか、その積極投資は成功しているのか否かです。まさに企業戦略とその成果を知るということです。事業セグメント情報からは企業戦略とその成果を知ることができます。ではなぜ積極投資している事業は、期待した成果を挙げることができない(できている)のでしょうか?
 
 残念ながら事業毎の財務成果を事業セグメント情報から知ることはできますが、その原因を財務諸表から知ることはできません。しかし、役員であれば事業の財務成果がなぜそうなのかを定性的に分析できる情報は、入手できるはずです。問題なのは、その原因を定性的に分析するロジックが不足していることです。

 事業の業績を定性的に分析する為の視点を、JMACでは「事業経営を診る3+1」の視点と呼んでいます。JMACのコンサルタントが、事業分析を行うための代表的な視点です。貴社の事業をモデルに、「事業経営を診る3+1」の視点を実践的に学んでいただければと思います。

2)リスク管理実践研修
 役員に体得していただきたい、攻めのガバナンスの手法が戦略会計です。これに対し体得していただきたい、守りのガバナンスの手法がリスクマネジメント手法です。
 リスクアプローチにより、自社に存在するリスクは何かを客観的に学んでいただくのが、リスク管理実践研修です。
 
 リスク管理は、一般に戦略的リスクとオペレーショナルリスクに区分されます。戦略会計は、戦略的リスク管理の手法と位置付けることも可能です。ここでは、オペレーショナルリスクに焦点を充て、リスクを評価し、重点リスクを洗い出し、対策が有効になされているかを評価する手法を実践的に学んでいただきます。

 基本用語の共通認識と背景理解、考える研修、実践研修の3つ。それが、JMACが提案する役員研修のキーコンセプトです。
 以上3つのキーコンセプトに基づき、その具体的な内容を次回以降にご紹介していきたいと思います。



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コンサルタントプロフィール

経営コンサルティング事業本部 シニア・コンサルタント(公認会計士)
飯田 真悟(いいだ しんご)

飯田さん

1981年にJMAC日本能率協会コンサルティング入社以来、様々な業種で200社以上の改革活動を支援している。
経営診断、中期計画等の経営計画策定等のガバナンス改革から予算管理・原価管理等を中心とした内部統制構築の支援、業務改革支援等の幅広い実績を有する。
また、戦略会計・管理会計等の研修において、実践的な会計知識の普及を使命と考え展開中

公認会計士としての専門知識を活かし、経営者・管理職に求められるビジネス・アカウンティング、役員や経営幹部に求められる戦略会計やコーポレートガバナンス、取締役会の有効性評価、不正会計等に係わるテーマについて、会社の財務諸表等を使いながら分かり易く、実践的に研修することで好評を得ている。

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