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技術を核にした新事業開発を担う人材育成を考える
第4回:新事業開発の実践、事業のタネとなる情報を収集するために

コンサルタント 今井  崇人 

◆技術を核にした新事業企画推進に適した情報源をピックアップする


 前回の第3回のコラムでは、技術を核にした新事業を企画するアプローチとそのメリットデメリットについて、概要を紹介しました。事業企画には、技術、マーケット情報が必要となりますが、情報源を取りまとめると以下のようになります。

①"技術"インプット情報源:論文、学会での報告、文科省等公的機関による科学技術とりまとめ、公的研究機関のホームぺージや特許が挙げられます。

②"マーケット"インプット情報源:各業界における産業統計、公的機関による市場予測、市場調査会社等が取りまとめている市場調査本、新聞記事が挙げられます。

 昨今、オンライン化が進んでおり、どこでもだれでも情報入手できるようになってきておりますが、ノイズ情報の増加やオンライン公開情報の質の低下も起こっております。 新事業企画の推進上、良質な情報を収集するために、意識的に情報源を使い分けることが重要となります。

 今回のコラムでは、技術・マーケットに関するインプット情報源を選定する際のポイントについて紹介いたします。

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①"技術"に関するインプット情報源


 事業企画する際の前提条件として、ⅰ)現在のコア技術/コア関連技術を強化する場合 と、ⅱ)自社が現在保有していない技術分野に挑戦する場合があります。

 

ⅰ)現在のコア技術/コア関連技術を強化する方針の場合

 情報収集したい領域がすでに定まっておりますので、専門性の高い情報が集まる情報源を利用することとなります。普段注視している領域ですので、情報源の選定は比較的簡単に行うことができます。よく用いられる情報源としては、論文、学会報、特許などが挙げられます。実際の情報収集の際には、具体的情報源(〇〇学会、〇〇研究会等)をリストアップし選択することとなります。この時、競合との差別性が明確になるような情報が集まる具体的情報源かどうかが重要な評価項目となります。普段から注視している領域に偏った情報源のみを選択している場合、すでに検討している事業企画の範囲を超えないケースに陥りがちです。事業アイデアにひねりを加えられる情報に出会える可能性を高めるためにも、普段見ていない領域の具体的情報源が選定できているか振り返ることがポイントとなります。

ⅱ)自社が現在保有していない技術分野に挑戦する方針の場合

 どの分野の情報収集をするかが定まっていないケースが多く、情報探索が発散して事業企画に必要な情報がまとまらないケースも多く存在します。国の科学技術政策動向や論文/特許動向等を元にどの技術トレンドに注目するか選択してから事業企画に必要な情報を行うこととなります。よく用いられる情報源としては、文科省等公的機関による科学技術とりまとめ、公的研究機関のホームぺージ等が挙げられます。技術トレンドを元としているため、競合との差別性が明確になるような情報を自然に収集することができます。一方で、自社として取り組む理由や意義といった自社適合性の低い情報ばかり収集していることもしばしば起こります。前述のような情報トレンドが記載されている情報源をそのまま活用するのではなく、技術トレンド内容の棚卸後に自社なりに解釈することが必要となります。技術トレンドへの解釈を行った上で、改めて情報収集に適した情報源を選定することがポイントとなり、自社適合性の高い事業企画立案につながります。

②"マーケット"に関するインプット情報源


 事業企画する際も前提条件として、ⅲ)現在の事業分野/事業分野周辺を事業分野と定める場合と、ⅳ)自社がこれまでに取り組んでいない事業領域に挑戦する場合があります。

ⅲ)現在の事業分野/事業分野周辺を事業分野と定める場合

 ⅰ)のケースと同じく、普段の事業活動を通じて顧客の生の声や業界団体の情報が入手しやすいですが、局所的な情報収集にとどまるという悩みを抱えている声もよく聞かれます。顧客のリアルなニーズを確かめることが情報収集の主な目的となるため、各業界における産業統計や市場調査会社のレポート、市場調査本を調査源と選択することがよくあります。しかしながら、顧客の声の裏付け情報だけを獲得しないことに注意が必要です。特定の業界レポートや市場調査本は、団体/企業へのヒヤリングを基にレポートを発行しているため、得られたニーズを裏付ける情報も得られる場合が多いですが、魅力ある事業に必ずつながるわけではありません。ニーズの裏目となる情報を述べている文献も併せて調査源に加えることで、冷静な立場で事業の魅力を評価できると言えます。具体的には、新聞記事などの情報の書き手によって、情報の内容が異なる性質を有する情報源を活用して、ニーズの裏目となりそうな情報も抽出することがポイントとなります。

ⅳ)自社がこれまでに取り組んでいない事業領域に挑戦する場合

 手元の情報に乏しい中で、公開情報の中から必要なマーケット情報を調査することとなります。挑戦しようとする事業領域を俯瞰しながらの情報収集となるため、産業統計、公的機関による市場予測、市場調査本などの情報源を組み合わせることとなります。不確実性の高い情報ばかりを収集していて、どの情報を信用してよいかわからずに事業企画が進まないという事態を避けるためにも、根拠のある事実情報を複数収集する必要があります。情報の確からしさについては、想定顧客へのヒヤリング/業界団体へのヒヤリング等で解消することも可能ですので、情報収集の段階では複数の情報が混在していても問題ありません。事実情報と合わせて、情報根拠の記載がある情報源を複数選択することがポイントとなります。

■終わりに


 今回のコラムでは、技術を核にした新事業を企画するため事業のタネとなる情報収集についてご紹介しました。
 次回のコラムでは、収集した情報を活用する機会の多い研修を題材に"新事業開発の実践型研修ではまりがちな落とし穴"ご紹介したいと思います。

⇒※「MOT:技術を核にした事業化実践研修」の詳細はこちら

>>  次号(第4回)のコラムはこちらから

>>  前号(第3回)のコラムはこちらから

コンサルタントプロフィール

コンサルタント
今井 崇人(いまい たかひと)

チーフ・コンサルタント 今井さん

長期的な技術戦略策定の支援を中心領域としており、(拡大が見込まれる)市場調査、技術の商品(商業)化、新商品開発、技術ロードマップ作成の支援を行っている。  
特に、自社技術の価値から新事業、新商品企画(新規開発技術を核とした商品化)を行う手法に関して研究を行っている。

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