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「実践的人事評価関連研修のポイント」
第5回:面談・フィードバック

チーフ・コンサルタント 堀 毅之

1.はじめに

 本コラムでは、人事部門・人材育成部門の担当者向けに、評価者研修の効果を高めるためのポイントをお伝えしています。
 第5回目となる今回のテーマは「面談・フィードバック」です。面談・フィードバックは、人材マネジメントサイクル上、今期の役割期待に対する評価や課題について伝達する機会であり、来期の目標設定や期待の前提となる重要な位置づけになります。しかし、実際のところ面談・フィードバックの実践度合いはそれぞれの評価者や組織状態によって異なると感じます。
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2.面談・フィードバックの現状

  NTTコムリサーチが実施した「人事評価に関するアンケート」によると、以下のような結果が出ています。

問1 「人事評価に満足しているか?」との問いには「満足、どちらかというと満足」は23.0%。
   一方、「不満、どちらかというと不満」は33.7%。
問2 「フィードバックの有無は?」の問いには「フィードバックされている」が54.9%。
問3 「人事評価で知りたい項目は?」の問いには
   ①「評価された実績や行動、態度」が66.4%
   ②「あまり評価されなかった理由」が45.0%
   ③「改善が必要な職務行動、役割意識」が41.0%   

 
 被評価者が知りたいのは、結果と理由、そして今後どうすると良いのか(展望)であることがわかります。
 しかし、評価者研修で評価者にお尋ねすると「実は自分も今までされたことが無く、実施していない」という声を聞きます。
 また、実施しているマネジャーでも短時間に一方的に結果のみを伝えている「形式的型」や、かつての上司を模倣した「見よう見真似型」もしくは「反面教師型」、身近に確かなロールモデルがいないため自信はないがとりあえず自分のやり方で良しとしている「とりあえず型」が見受けられます。
 面談・フィードバックの場を意図的に活用しているマネジャーは限られている印象を受けます。

3.面談・フィードバックの目的

 面談・フィードバックの目的は、人事評価について部下の自覚と納得性の向上を図ることです。また今後の成長課題について本人の自己啓発を促し組織としての育成施策へ展開していくことと言えます。
 しかし、個々の資質(持ち味)や課題は異なるため、マネジャーは部下個々人に応じて工夫して面談・フィードバックをしていく必要があります。
 上記を踏まえ、評価者研修では、新任評価者であれば面談・フィードバックの型をベースに要点を学んでもらいます。既任者であれば型をベースに自分ができていること、レベルアップ課題、自分の癖などを再確認する機会になります。

4.効果的な面談・フィードバックを行うために評価者に考えてほしいこと

①伝えるべき内容の整理
 評価者は部下に対して説明責任を果たす役割があります。そのため毎回必ず説明するとは限りませんが、以下について説明できる状態をつくることが求められます。
 1つ目として結果、理由を論理的に説明できることです。論理的な説明とは仮に評価結果がCであるということは、BでもDでもないということです。具体的な事実に基づいて評価内容を説明できる必要があります。
 2つ目として被評価者と評価者の評価が異なる場合に説明ができることが求められます。評価が異なる原因には等級別の役割に対する理解が異なっていたり、当初の期待や実績に対する認識の違いがある場合があります。評価の着眼点や評価理由を丁寧に説明できる必要があります。
 3つ目として一次評価者として評価した内容と最終評価結果が異なる場合においても説明できることが求められます。必要に応じて上位の評価者に確認するなどアクションが必要となること等理解してもらいます。

②部下の納得感や展望感につながる伝え方の工夫
 伝えるべき内容の整理だけではなく、部下が疑問解消できるよう双方向のコミュニケーションができるように面談・フィードバックの時間や進め方を工夫することも必要です。例えば、ネガティブな結果がついた部下に対しては面談で結果の伝達と共になぜそのような結果がついたのか一緒に考える時間にする。
 あるいは別の局面では今後求めている役割や期待を明確に伝え、部下が展望を持てる状態をつくる等、限られた時間の中で部下の状態に応じて時間の使い方、伝え方の重点を決めていくことも必要です。

③日常のコミュニケーションの課題
 評価やフィードバックの難しさは日頃の部下とのコミュニケーション不足や仕事ぶりの理解不足に起因することも多いものです。
 大切なことは、部下から見て「上司は自分のことをわかっている。見られている(見てくれている)。」と思われる状態をつくることです。
 コロナ禍によりリモートワークを導入している企業もありますが、評価・フィードバックを効果的に行うためにはそれぞれが置かれた環境の中で期中のコミュニケーションの充実を図ることも課題になります。

5.評価・フィードバック力を高める研修企画のポイント


 ①面談の場をシミュレーションする
 効果的にフィードバックするためには限られた面談時間の中でどのように進めると良いのか組み立てを検討する必要があります。面談の事前準備として主な伝達項目、内容、時間配分、想定質問などを考え、ロールプレイで実践し、振り返ることが効果的です。具体的に相手を想定してシミュレーションをすると相手の反応などをありありとイメージすることができます。「こんな風に伝えると、こういった反応が返ってきそうだな」といったイメージトレーニングを行うことが肝になります。このトレーニングプロセスを通じて得る気づきは、実際に職場実践する際にも準備をしておこうという意識につながります。

②面談のあり方について部下目線でコメントバックしてもらう
 要点は評価者(上司)が自分の行った面談コミュニケーションに対してコメントがもらえることです。自分が薄々気づいている影響の出方だけではなく、気づいていなかったところも良い点、改善点を伝えてもらうことに意味があります。「部下だったらこう感じると思います。」「ここを変えるともっと伝わりやすくなると思います」といった職場の部下が思っていても言えないだろう声をコメントしてもらう機会をつくることが大切です。

③部下の育成シナリオを検討する
 評価結果と今後の事業や業務面の状況、職場の体制、本人のキャリアに対する意向などを踏まえて、育成の方向性や今後の機会づくり(アサインメント)を育成シナリオとして検討します。育成課題まで検討した後にロールプレイを実施するとリアリティが増し、学びが深まります。日頃は業務主導で部下に仕事をアサインしている上司にとっては、研修で育成視点を主体として業務のアサインを考えることは新鮮な体験となり、以降の職場マネジメントの参考になります。

④日常のコミュニケーションのあり方を検討する
 適切に評価するためには日頃の部下の仕事ぶりの観察やコミュニケーションが欠かせません。評価、面談、フィードバックの質を高めるために日常のコミュニケーションのあり方を検討してもらうことも重要です。最近では期中に1on1ミーティングを実施するところも増えています。やろうと思えばできる個人でも取り組みです。実際に会社の施策として導入していなくとも、評価者(上司)が自ら課題意識を持って独自に取り組んでいる方もいます。1on1ミーティングはコーチングを活用し部下を主体としたコミュニケーションを重視することが伝えられることも多い手法です。職場での実践的なコーチングに慣れない方に1on1の実践ポイントなどを学んでもらうことも有効です。

 ここまで研修企画のポイントをお伝えしてきました。
 職場実践を促すためには研修で終わりにせず、人事部門や人材育成部門がアンケートやインタビューで実践状況を把握し、継続的にフォローしていくことが評価者のスキルを底上げする鍵だと考えます。何らか参考になれば幸いです。

 余談ですが、多くの会社では人事評価マニュアルなどあるにもかかわらずあまり活用されていないようにみえます。研修効果を高めるため、すなわち実践を促進するために評価者(上司)の拠り所として人事評価マニュアル類をうまく位置づけ、活用して研修を進めることも意味があります。研修効果を高めるためには既存のマネジメントプロセスやリソースを上手に活用、連動することが欠かせません。

>> 関連する研修:「評価者研修」

>> 関連する研修:「被評価者研修」

>> コラム前号 「第4回:人事評価(能力・行動評価編)」はこちらから

コンサルタントプロフィール


チーフ・コンサルタント 堀 毅之(ほり たかゆき)

堀さん

人事、人材・組織領域で変革を支援している。
人・組織が生き生きと活動しながらビジネス成果を目指す組織づくりを支援する。
経営層、マネジャー層、メンバー層それぞれの役割発揮や相互作用、各人のエンパワーメント向上、主体性発揮に働 きかける企画を大切にしている。支援業界は 自動車、精密機械、電機、化学、製薬、食品、繊維、住宅、金融、IT、BPO、サービス、公共等 多岐に渡る。

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