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技術を核にした新事業開発を担う人材育成を考える
第3回:With/Afterコロナ時代の事業化人材育成とは
チーフ・コンサルタント 小田原 英輝
◆技術を核にした新事業企画アプローチのアウトルック
技術を核にした新事業を企画するためのアプローチは、何を企画の起点とするかに応じて様々な種類が存在しています。
R&D部門で取り組みやすいのは、「技術を起点に、どのような社会の課題を解決して事業化ができるだろうか?」と、技術を起点に新事業を企画するアプローチです(①自社技術アプローチ、②社外有望技術アプローチ)。
世の中で一般的なアプローチは、「現在や未来の顧客の課題を解決するためには、どのような事業や技術が必要だろうか?」と、マーケット起点で新事業を企画するアプローチです(③デザイン思考アプローチ、④未来洞察アプローチ)。
近年は、SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)への関心から、「SDGsで掲げられているような社会課題を解決するためには、どのような事業や技術が必要だろうか?」と、社会課題を起点に新事業を企画するアプローチの取組みも多くなっています(⑤社会課題起点アプローチ)。
今回のコラムでは、それぞれのアプローチやそのメリットデメリットについて、概要を紹介していきたいと思います。
①自社技術アプローチ
自社が保有している強みのコア技術を棚卸し、そのコア技術によって実現できる機能や顧客価値を核に、他市場への横展開を検討することで、新たな事業を企画するアプローチです。
起点とするコア技術がNo.1/Only.1であれば、自社の強みの技術を核に競争力の高い新事業を生み出すことができます。
一方で、プロダクトアウト型で顧客ニーズにマッチしない企画に陥ってしまいがちな一面もあるため、"顧客価値"に拘った取り組みにすることが必要です。
②社外有望技術アプローチ
社会を大きく変革する可能性を持つ社外の有望技術を起点に、自社の強みを活かした技術開発でどう差別化するも検討することで、競争力のある新事業を企画するアプローチです。
学術界や国立研究所、ベンチャーなどで開発された、自社にとって新分野の技術を探索・獲得し、その事業化を検討するアプローチであるため、中長期をターゲットにした飛び地型の新事業開発に適しており、コーポレートの研究所などでの取り組みに向いています。
単に社外の技術を取り込んで製品化するだけでは他社と差別性のない事業になってしまうため、技術やビジネスモデルでどう差別性を織り込むかの検討がポイントです。
③デザイン思考アプローチ
生活や仕事において顧客が感じている問題について、観察・対話・体験といった手段で共感を得ることで、人間中心発想で新事業を企画するアプローチです。
特に、BtoCの事業であれば自分自身が私生活で感じている問題を、BtoBの事業であれば自社の中で発生している問題を対象にすることで、誰もが確実なニーズに基づく事業を企画しやすくなります。
一方で、ニーズ起点アプローチの企画は様々な業界でやりつくされており、重箱の隅をつつくような事業規模が小粒な企画になってしまいがちな側面もあるため、いかにソリューションとして事業範囲を広げたビジネスモデルを検討するかがポイントになります。
④未来洞察アプローチ
世の中のメガトレンドや想定外の変化の兆しを抽出し、その変化から想定される未来の社会や顧客の課題解決を検討することで、新事業を企画するアプローチです。
このアプローチも中長期をターゲットにした新事業開発に適しており、コーポレートの研究所などでの取り組みに向いています。
一方で、抽出した未来の課題と自社の技術分野の関連付けが課題になりやすく、検討ドメイン設定や抽出する変化の兆しの選択がポイントとなります。
⑤社会課題起点アプローチ
世の中で注目されているSDGsなどの社会課題を起点に、自社が解決できる技術課題へと展開していくことで、骨太な新事業を企画するアプローチです。
課題を絞り込みすぎなければ、規模の大きな事業を企画しやすいという特徴があります。
一方で途上国や環境問題などの社会課題をターゲットにする場合は、マネタイズのためのビジネスモデル検討に工夫が必要となります。
■終わりに
今回のコラムでは、技術を核にした新事業を企画するための様々なアプローチについてご紹介しました。
次回のコラムでは、これらの企画に役立てていくための"事業のタネとなる情報収集"についてご紹介したいと思います。
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from 日本能率協会コンサルティング on Vimeo.
コンサルタントプロフィール
チーフ・コンサルタント
小田原 英輝(おだわら ひでき)
技術を核にした新事業/新商品創出に関するコンサルティングを中心に、製造業の幅広い業種のクライアントを支援している。 近年は、オープンイノベーションやビジネスモデル策定、特許戦略策定などにも注力しており、継続して成果を出し続けるための仕組みづくりまで支援するスタイルや現場伴走型の支援スタイルが特徴。