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MOT:技術を核にした事業化展開
第2回:マーケットニーズと技術シーズからのネタつくり
シニア・コンサルタント 細矢泰弘

■はじめに

 本コラムでは、著者 細矢 泰弘が40年経験した新商品・新規事業のコンサルテイング事例から原理・原則的なポイント、基本的な考え方・進め方を計12回に渡って連載します。
 初回に続き今回は「マーケットニーズと技術シーズからのネタつくり」についてお話しします。

1.事業化のゴール設定~事業展開シナリオ~

 役員の方々にはなんとなく新規事業をやろうという方も多く見受けられます。しかし、新規事業をやる意義、なぜやるのかを十分社内で納得のいくまで議論していただくのがまずスタートだと思います。その上で目的・目標の設定が大切といつも感じています。
 目的は新規事業の意義、どのように貢献したいのか、目標は何年後にどのくらいの売りを上げたいのか等々です。理想的には、下図のように技術と市場を発展させながら事業展開を仮説でよいので作る必要があります。
 コンサルテイングの傾向でいいますと、素材・化学・食品等の川上から川下へ出る形のパターンとさらにリーマンショック以降は、バイオ系にでる形の支援が多くなっています。またグローバル100兆円市場といわれる、自動車、スマホ電材、水ビジネス、環境エネルギーもかなり支援が増えています。

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2.ネタつくりの考え方

 下図のように技術シーズとマーケットニーズの両面から考えるのが原則です。技術シーズ側で大切なのは技術の棚卸で、大企業ではこれだけでのコンサル依頼も多く見受けられます。技術というのは人に属することも多く、研究所の場合は、個人の棚卸になる場合も多くあります。日本企業には再現性のないノウハウ・技能も多く、これも棚卸の対象に入り、ここが差別化の源泉になることも多いです。

 技術の見方ですが、科学→メカニズム→顧客価値→発展性という方向でみていく場合もあります。特に技術の顧客価値が大切で、ここが事業のネタの本質的な部分になる場合も多かったです。企業の技術者は技術を物理的であったり化学的な見方はできますが、あらためて顧客価値を問われると答えられないことが多くあります。コンサルの役割は技術者に本質的な質問を投げかけて、顧客価値に気づいていただくのも大切な仕事です。
 
 マーケットニーズ側は自社にとっての有望な領域(ドメイン)を見出すのが一番大切です。成長産業といわれるのは、前述した100兆円事業とか日本の課題である、在宅・介護・医療とかバイオ関連の依頼も多い傾向にあります。通常のコンサルテイングでは、300~500のネタを出して、自社にとっての可能性を検討します。この時にまた自社の強みに戻ります。どんなに魅力がある市場でも自社の強みの源泉・差別化がないと事業として成り立たないのは周知のとおりです。

 また見方としては技術+1でこれからその領域の強みを戦略的に作るというのもひとつのオプショ案になります。そして一番大切なことはこのテーマのアントレプレナー(熱意ある起業家)を創出できるかにかかっています。日本企業の多くは、役員をはじめサラリーマン風土が強い会社が普通で、ここをクリアーできるかが最大の課題になります。

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>> 「第1回:経営課題と基本的な考え方」はこちら

コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
早稲田大学大学院非常勤講師
全日本能率連盟MC(マスターマネジメントコンサルタント)審査委員
細矢 泰弘

細谷さん

技術を核にした事業化を専門とし200以上の事業化をてがけてきた。リサーチ・提案だけでなく、研究開発からマーケテイング、コスト開発、生産技術まで一貫して支援し、キャッシュを回収するまでの"創って、作って、売る"実践を重視することである。技術特性をわかりやすい"顧客価値ことば"に変換して経営者と技術者の橋渡しと 技術者の事業家育成をライフワークにしている

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