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「次世代経営人材育成研修のかんどころ」
第1回:「次世代経営人材への研修は、推進する側のコミットがすべて」

シニア・コンサルタント   横山 隆史

■成否を分けるのは推進する側の思いやコミット

 次世代の経営人材育成に携わるようになり、(ここから、という記憶は定かでないのですが)少なくとも10年は経過しているのですが、その経験の中から得られた知見や考えを、このコラムでは紹介できればと考えています。

 10年近くも携わっていると様々な思いがよぎるのですが、まずは第1回のテーマとして、経営人材の育成を主たる目的とした研修では、推進する側の思い、コミットがその成否を分ける、という点をご紹介したいと思います。これまで様々な会社で経営人材育成研修に取り組んできましたが、結局のところ推進する側の思いがなければ、どれだけ我々がツールを準備しても研修の成功には至らないと強く感じています。

■必要なのは受講者、人材育成担当者の相当な覚悟

 知識系の教育研修と異なり、なぜそれほど思い・コミットが必要なのか、やはりそれだけナーバスな研修であり、相当の覚悟をもって臨まなければならない、ということが言えます。
横山さんコラム挿絵

 次の経営人材を輩出することが目的の研修ですから、大概の場合は経営トップの意向が出発点となります。それを受けて研修を企画するのが人材育成担当者となるのですが、まずここで人材育成担当者には相当なプレッシャーが生まれます。経営トップ直轄のプロジェクトと同等であること、自社に経営人材育成に関するノウハウをもつ企業は少なく企画自体が難航すること、費用も相当にかかること、研修の協力を仰ぐために各方面への社内調整が必要となること、研修成否はその人材育成担当者の評価へダイレクトにつながること、等から研修の準備にも実施にもかなり慎重対応が求められるのです。そのため、人材育成担当者がオーナーシップを発揮し、「これは私がやり遂げる」という強い思いをもって臨まなければならないのです。一方で、中には「言われたからやっている」という受け身の人材育成担当者も少なからず見受けられます。そのような場合、様々な調整に四苦八苦し、“良いところ取り”のパッチワークのような研修企画となってしまい、「そもそも、何が目的だったっけ?」となってしまいます。

 また、この研修に参加する受講者側も相当なプレッシャーです。受講者自身が「自分は選抜された、次世代の経営幹部候補として期待されている」という強い自覚を持って研修に臨んでくれればいいのですが、研修の趣旨を受講者本人がきちんと咀嚼していない場合、この種の研修を受講することは「“踏み絵”を踏まされている」という思いになるようです。実際、「私たちは実験台ですから」と話している受講者にもお会いしたことがあります。このような方が若干名でも受講者に紛れ込んでしまうと、研修全体のモラルダウン、ひいてはレベルダウンにつながりかねません。

 さらに、日常業務との調整をうまくこなせない受講者も問題です。研修中も携帯電話へ頻繁に連絡が入ってくる、スマートフォンで始終メールチェックしている、業務が繁忙で事前課題や発表準備に十分な時間を割くことができない、等は頻繁に見受けられます。こういう受講者は一目瞭然で、研修全体の雰囲気を壊し、周囲に「その程度でいいんだ」という印象を与えかねません。ただ一方で、実務の繁忙感を知っている人材育成担当は厳しく接することができず、うやむやになってしまうのも実際です。

■成功に導くカギは人材教育担当者の熱意!

 このような事態を避けるためにも、また研修を成功へ導くためにも、まずは研修を推進する側のコミットが非常に重要です。

 まず、経営トップは、どれだけ多忙であっても、研修の冒頭、受講者に対してしっかりと思いを伝えなければなりません。また、中間・最終報告の場で、どれだけご自身が受講者に期待しているか、それがゆえに厳しい指摘をできるか、それもご自身の言葉で語ることが求められます。経営トップとの直接のやり取りを通じて、受講者は経営人材としての自覚を強く認識することができるようになるのです。
 
 また、研修事務局となる人材育成担当者にも強いコミットが求められます。この種の研修で成功するケースは、人材育成担当者がほぼ例外なく「これは私の研修」と捉えています。まず、研修はほぼすべてオブザーブし、受講者以上に研修内容を理解するように努めています。事前課題や課題図書等も受講者と同じレベルで取り組んでいます。さらに、研修の中身そのものに積極的に関わっていきます。ある会社では、最終報告会の発表準備の場で、最も指導・アドバイスをするのがオブザーブしている人材育成担当、ということがありました。「最終報告会は受講者にとって“お披露目”の場、経営トップとじっくりやり取りする機会は初めてだろうから、何とかして成功させたい」という思いがとても強いのです。このような熱意ある人材育成担当者の場合、まず間違いなく研修は成功していきます。

■活動予算こそ非常にわかりやすいコミットである


 また、コミット度合いを測るために、興味深い"モノサシ"があります。それは、活動を促すための予算をつけるか、というものです。

 経営人材育成研修では、受講者の経営人材としての資質をみるために、ほぼ100%最終報告会があります。研修でインプットした内容を活かしてアウトプットを試みるのですが、経営トップに対する報告会ですから、入念な準備が必要です。一方で、現場で視察するにも、文献などにあたるにも、関係者に話を聞くにも、試作してみるにも、とにかくお金がかかります。そのような活動費をちゃんとあてがっているか、は本気度を測る分かりやすいモノサシです。

 ある会社の事例ですが、事務局の人事担当にお願いし、グループ毎に50万円の活動費を了承してもらいました。少なくない金額に対して、当初は受講者も喜んでいるのですが、次第にこの活動費がプレッシャーとなってきます。「これだけ預かっているのだから、しっかりとした成果を出さなければ」へと変わっていくのです。

 活動予算は非常に分かりやすいコミットだと考えています。

 次回は、経営人材育成研修で変われる人材と変われない人材、その特徴を考察しようと思います。

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「次世代経営人材育成研修」の詳細はこちら

横山 隆史 のコラム 次号(第2回)はこちらから

コンサルタントプロフィール

経営戦略事業部 シニア・コンサルタント
横山 隆史(よこやま たかし)

横山さん

政府系金融機関で、営業・審査業務を経験し、当社入社。
前職での経験を活かしてアカウンティング・ファイナンス等の分野で強みを発揮しながら、経営戦略、マーケティング等へ領域を広げてきた。
新規事業検討、ビジョン・中期経営計画策定、ビジネスモデル構築、企業/事業再生等といった分野で実績がある。
近年においては、新たなビジネスモデルの概念「プロフィット・デザイン」の普及に取り組むと同時に、次世代の経営人材育成支援に取り組んでいる。

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