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事業開発実践力養成研修
第4回:ビジネスプランの作成
シニア・コンサルタント 池田 裕一

1. 事業の成功確度をあげるための調査分析

(1)候補分野別フィールド調査
 新商品・新事業テーマの候補別にフィールド調査を行います。フィールド調査では、外部の情報機関で文献情報を探り、インタビュー調査を実施します。
 まずは、タイプ別、用途別などで市場細分化を行い、細分化した市場での規模や成長性を把握しましょう。全体の市場規模は公開データで把握しやすいですが、細分化した市場は把握しにくいことも多いです。複数のインタビューやデータを組み合わせることにより推計し、可能な限り細分化した市場の分析を行いましょう。


(2)成長市場の動向
 今後の成長市場について詳細に調査を行います。とくに成長市場が自社にとって新規市場である場合は、ニュース記事で断片的な情報を得るのではなく、民間調査機関やシンクタンクが発行している業界動向情報などを利用し、その概要や市場動向を把握することから始めましょう。
 つぎに注目市場として「当該分野でどのような市場が注目されているか、どのような市場が成長するか」を詳細に見ていくことが大切です。


(3)競合動向調査
 競合動向調査は文献調査と合わせてインタビュー調査も実施しますが、懇意にしている顧客(ユーザー)に「競合企業がどのような売り方をしているか、どこが強みか弱みか」をヒアリングしましょう。
 流通を通じて販売している場合は、流通事業者にインタビューを行います。「競合商品がどれくらい売れているか、どのような売り方をしているか、どこが強みか弱みか」を聞くのです。
 この際、顧客に聞いた競合の印象と流通に聞いた競合の印象が大きく異なることがあります。これは競合企業のコンセプトが流通や顧客に正しく伝わっていないときに起こる現象です。意見のバラツキを確認して、その実態を把握しておきましょう。
 競合については将来的な競合についても押さえておく必要があります。今は参入していなくても将来参入の可能性のある企業について調査しておくということです。

2.ビジネスプラン(新商品・新事業企画書)の作成

(1)ビジネスプランの目的
 「ビジネスプラン」、「新商品・新事業企画書」、「新商品・新事業構想書」など言い方はさまざまですが(本章ではビジネスプランと称します)、これまで検討・調査・評価してきた新商品・新事業テーマについてどのような事業なのか、どのような事業にしていくかを明らかにするためにビジネスプランを作成しましょう。

 ビジネスプランの目的は複数あります。第一は経営層に意思決定させるためのものです。ビジネスプランは、これから必要となる投資の判断、専属人員の確保、開発組織の承認、他社との事業連携の判断、さらには事業化のGO/STOPといった意思決定を仰ぐ上で重要なツールとなります。

 第二に実施担当者に目標を与え動機づける目的があります。ビジネスプランを描いてみると、時間軸のなかでどれくらいの規模を目指すべきなのかが明らかになるとともに、今後事業化に向けて解決すべき課題が明らかになり、担当者自身の意識付けとなるためです。

 また、金融機関等外部から資金を調達する場合にもビジネスプランを作成が必要です。これは、投資に見合う事業かどうか、投資をすることでどれほどの事業に成長するかを明らかにするためです。
 そうした目的を達成する要件として経営層が判断できる基礎的なデータを含んでいること、プランの目的と達成のための方策が明確になっていることが求められるのです。

 担当者自身の新商品・新事業への意欲と熱意だけではなかなか意思決定はできず、客観的に判断できるデータが不可欠です。また目標が明示されていても、それをどのように実現していくかの方策が明記されていないと画餅に終わってしまいかねません。ビジネスプランは具体性と論理性を具備しなければならないのです。


(2)ビジネスプランの必要性
 ビジネスプランは、一度書いて終わりというわけではありません。たとえばテーマ収集をして企画・探索を行い、最初のビジネスプラン(ビジネスプラン-Ⅰ)を作成します。これは経営層や関係者に対し新商品・新事業のテーマの了解を得るとともに、次のステップでの詳細市場調査や部分試作のための予算措置となります。この段階で経営層や関係者の意見を入れておきましょう。

 つぎに、詳細市場調査や部分試作の結果でビジネスプラン-Ⅱを作成します。ビジネスプラン-Ⅰでは、まだ簡単な市場調査であったり、商品仕様が机上であったりしたものが、詳細市場調査や部分試作を行うことによって実態の把握が可能となり課題の発見につながるなど、ビジネスプランがより現実に近づくことになります。ビジネスプラン-Ⅱではそうした課題や実態を経営層や関係者に報告するとともに、次のステップに進めるための人材の確保、予算の確保、組織化について提案します。

 そして、商品試作や市場実証を行った結果として、ビジネスプラン-Ⅲを作成するのですが、ここで販売開始の見極めとなります。ビジネスプラン-Ⅲで意思決定を行い、事業化・本格販売に移行するということです。
 ここではビジネスプランのタイミングを3回設定していますが、組織や事業により作成回数、作成タイミングは異なります。ビジネスプランは開発の進捗度にあわせ、その内容も徐々に充実させることが大切です。初期段階ではコンセプトや仕様などが検討視点となりますが、開発が進むにつれて収益や投資などの数値面が検討視点となり、データもより精度の高いものが求められていくのです。

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from 日本能率協会コンサルティング on Vimeo.

コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部 技術戦略センター
シニア・コンサルタント
池田 裕一

池田さん

機械販売会社の財務部門を経て、1990年(株)日本能率協会コンサルティングに入社。
以降、メーカーやサービス業を対象とした新製品・新規事業探索、開発テーマ設定、新製品・新規事業企画、新事業評価などのコンサルティング、研修、講演にあたる。
著書「新規事業・新用途開発技法とテンプレート」日本能率協会総合研究所「開発者のためのマーケティング」同文館出版など

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