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MOT:技術を核にした事業化展開
第7回:事業化計画の検討~手順とポイント~
シニア・コンサルタント 細矢泰弘

■はじめに

 本コラムでは、著者 細矢 泰弘が40年経験した新商品・新規事業のコンサルテイング事例から原理・原則的なポイント、基本的な考え方・進め方を計12回に渡って連載します。
 今回は「事業化計画の検討~手順とポイント~」についてお話しします。

1.事業化の手順

 以下に手順を示します。
 全体のロジックはマーケティングの手法にJMAC独自に開発した技術の見方を加えて手順化し、顧客ニーズと技術ニーズをマッチングした手法になっています。技術の見方の核をなすのが、NFS展開(顧客ニーズー機能性能ー技術シーズ)と技術ポトフォーオで、顧客ニーズを要素技術に落とし込み、開発の優先順位をつけることが大切です。この時に以前ご紹介した技術の棚卸を活かすことがカギとなります。
 
 JMACでは過去のプロジェクトDBから業界ごとの全体技術と要素技術体系があり、これを使用して差別化技術の検討スピードを上げていきます。全体計画作成においては、ビジョンから始まり計画作成までの整合性を考えることが大切です。

2.事業化のポイント

 この手法で核をなすのが、基本戦略と重点課題の設定です。基本戦略においては、勝ち筋をどのように描くかを経営陣とともに納得のいくまで議論することが大切です。MOTでは経営リソースの中で、特に技術で差別化することに重点を置いています。
 
 日本の技術は積み上げ改善の技術、ばらつきのない技能者のスキルも含めて差別化のポイントと勝ち筋を検討していきます。
 例えば、日本には売上100億を超える化学メーカーが200社を超えて存在しています。ニッチなところで、活きるすべ(術)、技術があると考えられます。ただ、これが新規事業分野で活きるかは別の問題だといつも感じています。少し領域を変えたり、新規分野を検討するとこのニッチ技術がなかなか活きない場合も多いと思います。この場合は技術+1(アルファ)が必要になり、これを検討することが大切だと考えています。前回ご紹介した仮想カタログは、このプラス1(アルファ)の技術を検討する中心的な仮説になります。
 
 重点課題の二つ目は、コストのつくり込みでです。コストが未達で事業を諦める場合も多いため、このフェーズはコスト開発(コストを開発段階で作りこむ)というプロセスを入れています。
 
 重点課題の三つ目は売りで、売るモデル、ビジネスモデルをどのように作るかが最大の課題です。
 次回以降さらに解説を進めていきます。

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>> 「第6回:仮説・検証ツール~仮想カタログの作成~」はこちら

コンサルタントプロフィール

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
早稲田大学大学院非常勤講師
全日本能率連盟MC(マスターマネジメントコンサルタント)審査委員
細矢 泰弘

細谷さん

技術を核にした事業化を専門とし200以上の事業化をてがけてきた。リサーチ・提案だけでなく、研究開発からマーケテイング、コスト開発、生産技術まで一貫して支援し、キャッシュを回収するまでの"創って、作って、売る"実践を重視することである。技術特性をわかりやすい"顧客価値ことば"に変換して経営者と技術者の橋渡しと 技術者の事業家育成をライフワークにしている

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