コラムCOLUMN
「役員研修3つの提案」
第6回:実践型コンプライアンス研修とは
シニア・コンサルタント 大谷 羊平
■はじめに
これまで、5回にわたって、役員研修に対する3つの提案をお伝えしてまいりました。最後は、前回に引き続き「実践研修」の例としての「コンプライアンス実践研修」をご紹介します。
役員研修ではリスクマネジメントやコンプライアンスについても触れて欲しいという声がよく聞かれます。では、役員が知っておくべきリスクマネジメント・コンプライアンス知識とは何でしょうか?
上場企業やそれなりの規模の企業であれば、リスクマネジメント委員会やコンプライアンス委員会が設置されていて、そこでの検討内容に触れる機会は多いはずです。一方で大体の役員の方はリスクマネジメントやコンプライアンスについての実務的な知識が少ないのも実態です。
そこで、役員として押さえておくべきリスクマネジメントの基本を知って頂き、その上で実務的には一番リスクが高いコンプライアンスリスクについての感度を持ってもらうことが重要と考えています。そこに向けて以下の3つの観点で理解を深めてもらいます。
1. リスクマネジメントやコンプライアンスが求められる背景を理解する
2.企業で発生する可能性の高いコンプライアンスリスクを理解する
3.自社におけるリスクに気が付く
具体的なコンプライアンス面の留意点を理解した上で、ビジネスプロセスを不正やミスの防止の観点からチェックするための視点についても解説します。
そのような一定の共通知識を持っていただいた上で、具体的に自社ではどのようなことに留意したらよいのか?ということについて、演習を通して考えていただきます。様々な観点から見た際に自社において想定されるリスク項目を洗い出し、それを各役員で共有をしたうえで、リスクの評価を実施する。という一連の体験をしていただくことで、今までリスク評価委員会やコンプライアンス委員会から出されてきている資料が作られる過程を理解できます。また、今後チェックするための観点も明確になります。
4.風土改革の重要性を理解する
最後に、コンプライアンス違反が発生した企業の状況を事例で共有しながら、コンプライアンス違反が起こりにくい組織のあり方について解説します。
その上で問題や不安点が上がってきやすくなる組織や上司のあり方、またそのような風土にしていくための役員や管理職の振舞い方についても触れ、風通しが良い組織にしていくための進め方についても理解します。
また、役員としてリスクマネジメント、コンプライアンスや内部統制の必要性についてどう説明するのがよいのか、伝え方のポイントについても理解いただき、今後の社内の意識向上に向けた自身の役割についてもご認識いただきます。
これらの工夫によって、次の日から役員の方々の語り口が変わるような研修を目指しています。
>> 「第5回:攻めのガバナンスに不可欠な実践型戦略会計研修」はこちら
コンサルタントプロフィール
取締役 経営コンサルティング事業本部長
シニア・コンサルタント
大谷 羊平(おおたに ようへい)
1993年の入社以来、200社近くの各種製造業をはじめ、物流、損保、人材派遣業、出版業などサービス業を含めて幅広い業界の改革活動を支援している。
主なテーマは、事業構造改革、業務改革、基幹システム再構築支援など。 2000年代に入ってからは企業のサステナビリティの強化にも取り組み、リスクマネジメント・コンプライアンス強化やBCP策定、コーポレートガバナンス改革に関してもコンサルティングを展開中。