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「自社らしさを活かしてCS・EXをつくる」
第6回:自社らしさを活かした新入社員研修
コンサルタント 小倉 亜耶乃

■新入社員に自社らしさを伝える

 春を迎えて暖かさを感じ始めると、新入社員の入社を心待ちにされる方は多いのではないでしょうか。そして、多くの企業で、新入社員に対して、教育のための研修を用意しています。
 新入社員の研修は、大きく次の3つに分けられると考えます。
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 1.社会人としてのビジネスマナー
 2.実務に直結するスキル・技能の習得
 3.社員としての組織文化・風土の形成

 今回は、3に焦点を当てたいと思います。
 自社の組織文化や風土を形成することは、他社と差別化し、企業として維持・成長していくための土壌です。加えて、社員が働きやすく、良いEX(従業員体験)を得ることにも繋がります。では、どのように形成するのか。組織文化・風土の要素の1つでもある「自社らしさ」を活かすことができると考えます。

■自社らしさを活かした新入社員研修のポイント

1.前提として)自社らしさを明確にする
 そもそも「自社らしさ」を表すことはできますか。経営理念、ミッション、特徴あるサービスや商品、際立った人材など、どのような表し方でも構いません。
 自社らしさが曖昧な場合は、前提として自社らしさとはなにかを明確にすることが必要です。
 たとえば、3社の電機メーカーの大切にしていることは次の通りです。

パナソニックグループ 経営基本方針における綱領 (ⅰ)
産業人たるの本分に徹し 社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す

ソニーグループ Sony′s Purpose & Values(ⅱ)
・Purpose 存在意義
 クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。

・Values価値観
 夢と好奇心   夢と好奇心から、未来を拓く。
 多様性     多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。
 高潔さと誠実さ 倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。
 持続可能性    規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。

バルミューダ (ⅲ)
素晴らしい体験を

 パナソニックグループは創業者の松下幸之助の経営理念を大切にし、創業者が生き抜いた時代の思想を色濃く残していることを感じることができます。一方で、ソニーグループは、”Purpose”、”Values” という言葉を用いて近未来的な印象や、新しさを感じます。バルミューダは、端的に最も大切にしていることを強く示しています。
 このように、自社らしさは、同じような業種・業態の他社と比較した時に、違いがはっきりとわかるものです。そして、社員自身に納得感があることが重要です。他社と比較をして違いが曖昧だったり、社員自身に納得感が無かったりすると、その自社らしさは曖昧だといえると考えます。
明確にできたら次のポイントを抑えることが大切と考えます。

2.形あるものを見せる
 自社らしさは、「形あるもの」で見せることがポイントです。もちろん言葉は大切です。しかし、経営理念、社長の想いなど、言葉だけではなかなかイメージできません。形で見せることで「大事そうだけれど、なんだかよくわからないな」といった不安を解消できると考えます。サービスや商品、社員はもちろんのこと、会社のエントランス、オフィスのレイアウトなどさまざまな形あるものに自社らしさが表れます。それらを意識的に作り込み、新入社員に見せることで、自社らしさが伝わると考えます。

3.肌で感じさせる
 職場に入り、業務を通して、職場の同僚・上司やお客さまとのコミュニケーションが生まれます。そこでは、「なにか他と違うな」、「なにか良いな」といった特徴を感じることができると思います。これらが自社らしさであり、肌で感じることでより伝わります。OJTはこの役目を果たすことができるトレーニング手法ですが、長期的に行うものです。初めの一歩として、研修に自社らしさを肌で感じられる工夫を取り入れると良いと考えます。

■JMACの事例

 ではJMACではどのように自社らしさを活かした新入社員研修を行っているのか。特徴的なプログラムである、「Pコース」をご紹介します。
 JMACでは基本綱領として、「技術の信頼性(ⅳ) 」、「人間の信頼性(ⅴ) 」、「成果の信頼性(ⅵ) 」を掲げています。JMACらしさを表すものですが、新入社員にとっては“?”が浮かびます。これを形あるものとして見て、肌で感じることができる研修プログラムがPコースです。20年以上前から脈々と受け継がれている伝統的な研修プログラムであり、3つの仕掛けがあります。

①技術を学んで応用する
 まず、基本的なコンサルティング技術の座学を行います。重要なことは、どのような問題に対してどのような技術を応用するのかということです。JMACでは技術を使いこなすだけではなく、開発していくことを大切にしています。そのようなJMACらしさの一端に触れてもらうべく、研修では技術開発につながる一歩手前の、技術の応用にチャレンジしてもらいます。テーマのみを提示し、課題解決に至るまでにどんな技術を使うか、どのように使うかは受講者が考えます。

②お客さまと一緒に課題解決に取り組む
 実際にプロジェクトを進めているお客さまと一緒に1つのチームを作り、2週間程度の研修期間において、毎日顔を合わせて取り組みます。コンサルティングの成果は、コンサルタントとして、いかにお客さまから信頼を得られるかによって変わります。
 講師として研修に関わるコンサルタントは、これまでお客さまとプロジェクトを進めてきた実績があります。新入社員は、先輩コンサルタントがお客さまと培ってきた信頼関係を目にしてJMACらしいコンサルタントの姿を見て学びます。

③現場に入り込み自ら成果創出に努める
 どこのコンサルティング会社でも、成果を出すことを強く求められます。JMACも同じです。しかし、JMACらしいのはとことんこだわってやり抜くことです。そして、アシスタントであっても責任を持ち、自ら成果を出すことを要求されます。
 私もPコースのプログラムを経験し、自分の成果に責任を持つことを強く意識付けられました。メンバーである現場の作業員の方と、ある生産工程の設備を組み直して目標が達成できるまで何度も工夫を続けたことを覚えています。

■自社らしさを体現する人材が自社らしいCS・EXをつくる


 今回は新入社員研修に焦点を当てましたが、様々な場面で社員は自社らしさを感じます。そして、自社らしさを感じる、つまり自社らしいEX(従業員体験)を経験すると、社員の言葉遣い・振る舞い・雰囲気に自然と自社らしさが体現され、お客さまに伝わります。そして、自社らしさを活かしたCS(顧客満足)へと繋がっていくと考えます。

 自社の組織文化や風土を伝えるために、企業理念や想いだけを伝える研修になっていないだろうか、自社らしさを感じられるコンテンツが含まれているだろうか、などのお悩みがあれば、ぜひJMACにご相談ください。


ⅰPanasonic>企業情報>概要>パナソニックグループの経営基本方針>3. 綱領
https://www.panasonic.com/jp/corporate/management/philosophy/3.html
ⅱトップ>ソニーグループについて>Sony′s Purpose & Values
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/purpose_and_values/
ⅲトップ>About>バルミューダについて
https://www.balmuda.com/jp/about/
ⅳ われわれの職業の基盤は技術の信頼性である 不断に努力して技術の開発と技術資産の形成に努める
ⅴ われわれは常に誠実性、客観性、主体性を基本とし 使命観と情熱のもとに人間的信頼性向上に努める
ⅵ われわれへの期待は顧客に真に役立つことで 組織的総合力を発揮して実施を推進し感謝される成果の実現に努める

>> 「第5回:WEBから始まるマーケティング/データ活用の仕組みと体制づくり」はこちら

コンサルタントプロフィール

経営コンサルティング事業本部 CX・EXデザインセンター
コンサルタント
小倉 亜耶乃(おぐら あやの)

小倉さん

顧客接点・顧客満足度向上を起点としたテーマを中心にご支援した経験を有する。
主な支援テーマは、CXデザイン、サービス競争力強化、顧客接点の品質向上、コールセンター改革、営業力強化/業務プロセス最適化支援、など。

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