文化シヤッター様
時代に即した人材育成で
「人づくり」の伝統を次世代へつなぐ(第3回)

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時代に即した人材育成で
「人づくり」の伝統を次世代へつなぐ

コロナ禍も機動的に対応!
チーム一丸となって「人づくり」を支える人材開発室の取り組みとは

 今年創業67年を迎える同社は、自前の研修施設を2か所保有し、常に人材育成に力を注ぐ企業である。設計、製造、施工、営業、管理など専門職種も多岐に渡り、集合研修は同社の貴重な「人づくり」の柱だったが、2020年4月に緊急事態宣言が発出され、いわゆるコロナ禍の中、オンライン研修に切り替えざるを得なくなった。当時のご苦労について、研修を企画、運営される人材開発室の皆さんに振り返っていただくとともに、時代に即した研修内容の見直し等、新たな取り組みで「人づくり」を推進する同社の人材開発についてお話を伺った。
(計4回に分けてご紹介します。今回は第2回に引き続き、第3回をお届けします)

インタビュー
  文化シヤッター株式会社 
  人事総務部人材開発室長 曽根 政行氏
  人材開発室係長 小松﨑 慎也氏
  人材開発室係長 岩田 奈々氏
  人材開発室 近藤 優介氏

インタビュアー
  株式会社日本能率協会コンサルティング 
  シニア・コンサルタント 佐伯 学
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 前列右から曽根室長、岩田係長
 後列右から近藤さん、結城研修所に常駐されている
 川井さん、落合さん

>>第2回記事を読む

■人材開発室の仕事のやりがいと今後の企画の方向性について岩田さんへお聞きします

岩田さんは現場経験もお持ちです。貴社の若手社員を新人研修時代からずっとサポートをされ続けていて、研修でも受講者に個別に声かけをしておられましたね。岩田さんにとって人材開発室の仕事はどのような時にやりがいを感じますか?またこれからどんな研修を企画していきたいですか?

岩田:
 私たち人材開発の仕事と言うのはなかなか結果を数字で表せないといいますか、会社への貢献度であったり成果が分かりにくい仕事だと思います。ただ会社組織も人があってのことなので、その重要な人に携われる、育成に携われるというのが1番やりがいがあることだと思っています。

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 また一個人として考えてみると、人が変わる瞬間に立ち会えたり、人が変わるきっかけを作れると言うところがやりがいだと感じています。なかなか大人になるとよほど何か刺激がないと、変われなかったりとか変わろうというふうに思わないと思うんですが、研修を通して学びを得たり、何か気がついたりとか、研修に来たときの表情と帰っていくときの表情が違うとか、そういう場所に立ち会えるのはとても嬉しいことですね。

JMAC:
 岩田さんは、確か研修でも結構感動して泣いてしまったという話もされていたことがありましたね。

岩田:
 はい(笑)。集合研修で、体感型の研修をやっていると受講者が本気で悔しがっていたり、すごく喜んでいたり、別れ際に寂しがってみたりとか、そういう姿をよく目にするんです。最後に事務局として話さないといけないパートがあるのですが、私が感極まって泣いてしまって、うまく話せないといったこともありました。仕事で感動して泣けると言うのはなかなかないと思うので、本当にすごくよい仕事をさせていただいていると感じています。

JMAC:
 受講者が研修から帰る時、ちょっと違った顔つきで帰っていかれる。その場に立ち会えると言うのはすばらしいことですね。

岩田:
 それがやりがいの1つです。
 2つ目は、私の場合は人材開発室配属で入社して、一回現場を経験してからまた人材開発室に戻ってきて9年目になるんです。ですから、受講者達の研修中の成長だけではなく、入社した時から長年にわたって、その人たちの成長を長く見続けられるというのがすごくやりがいがあります。もちろん成長されてきたのは、本来は彼、彼女たちがすごく頑張ってきてくれたからであり、現場の方々のおかげでもあるのですが、何か生みの親のような気持ちで研修に戻って来てくれたなと言うふうに受け止めています。

JMAC:
 研修中以外、お仕事の中でも受講者の方とそういうふれあいはあるのですか。

岩田:
 何かあった時にひょっこり電話やメールをくれたりすることはありますし、社内のランキングなどで名前が載っていると懐かしいなと思って労いの連絡を入れたりとかすることはあります。

JMAC:
 向こうからも声をかけてくれるし、岩田さんからもそのように声かけをされたりすると。よい関係性を築かれていますね。

岩田:
 最後にですが、私の中で仕事の向き合い方と人生の向き合い方とはすごく似ていると思っているんです。京セラ創業者の稲森和夫さんの、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という話が私はすごく好きでして、人材開発の仕事は熱意だったり考え方のところにスイッチを押したり、刺激を入れたりすることだと思うのですが、仕事が楽しくできる、成果が出ると言うことも当然大事ですが、その人の生き方にもしかしたら触れるチャンスというか、何かそういうものも人材開発の仕事には通じるものがあると思っているんです。だからすごくよい仕事だと感じています。

JMAC:
 なるほど。もう人材開発室に戻られてから9年が経ちますが、まだまだこれからも人材開発をやり続けたいですか?

岩田:
 はい。もちろん大好きな仕事ですし、今後も続けたいと思っています。
 ただ、現場感覚を持ち続けることも大切ですから、また営業だったり少し現場に戻って経験を積んで、可能であればまたここに戻ってくるということができれば1番良いのだろうと思います。

JMAC:
 例えばどんな人に人材開発の仕事に携わって欲しいと思いますか。

岩田:
 まずは楽しく仕事をしている方です。あと、人が好きな方でしょうか。やはり楽しそうに私たちが研修をやっていないと受講者も楽しくないと思いますので。

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曽根:
 最近、「楽しむ」と言う考え方は研修でもキーワードになってきています。社会全体もそうで、例えばオリンピックでも昔のメダリスト、メダルを期待されている選手は、国を背負っているからメダルが取れないと「すみません」と謝罪していましたよね。今はアスリートが、メダルの有無にかかわらず、まず「自分が楽しめたからよかった」と堂々と発言して、世の中がそういうふうに楽しむと言うこと自体を重視するようになってきたと思うんです。
 研修もそうですが、私が最初に話した「昔は研修が億劫だった」と言うのも、どうしてもかつてはスパルタ形式の研修が多かったことと、先生方もあえて厳しく接したり、厳しくしなくちゃいけないと言うような、多分そういう日本全体の教育の流れがあったように思うのです。
 最近は逆に、楽しみながらやろうという考えがあります。当社の研修にしてもそういう形に変えていきたいと。そのためにはあえて自分が楽しむ、人材開発室としてまず自分が率先して楽しまなくてはいけないというふうに思っています。

JMAC:
 なるほど。例えば、欧米などでは研修を受けられる人というのは、仕事を頑張っている人や成績優秀な人がもっと伸びるように研修の機会が与えられます。ですから研修所の後ろにはドーナツが並んでいたり果物が並んでいたり、飲み物が飲み放題だったりしながら、ラウンジで語り合いながらふだん経験できないことを研修で経験させるんだと。どちらかと言うと楽しみながら研修をするんですよね。
 一方で日本は学校の延長のようなところが今まではありましたが、帰る時に「研修が楽しかった」、「また来たい」とか、そういうふうに感じていただくためには、楽しむという姿勢がこの先大事になってくるかもしれませんね。
 岩田さんは9年担当をされてきて、これからはもっと研修をこうしていきたいというものは何かありますか?

岩田:
 今後やりたいと思っている研修が2つあります。
 1つ目がOJTの研修です。今は新卒向けのOJT研修はやっているのですが、新卒以外の方にOJTを学んでいただく機会は全くないんです。人の成長と言うのは企業の成長の近道だと思いますので、人の成長の質やスピードを上げるためにも、もっと育成の風土を作って行けたらと思っています。

JMAC:
 なるほど、育成の風土ですか。それは重要ですね。

岩田:
 なんとなく「成長してね」というのではなく、計画的・意図的に人を育てあげられるようになっていけたら、もちろん生徒側の方も前向きに取り組めると思いますし、教える方も成長すると思うんです。ちゃんと教えてもらっていると人間関係も間違いなく良くなっていくと思います。そういう意味で育成の風土を作るためにOJT研修は来年度ぜひやっていきたいところですね。

JMAC:
 ここでOFF-JTで研修したら、その後OJTが待っていると言うような感じですね。そしてOJTをしたらまたOFF-JTに戻るみたいな仕掛けを作っていけたらいいですね。

岩田:
 現場から育成の仕方がわからないと言う声も上がってきています。今まで「仕事は上司や先輩の背中を見て学べ」、みたいなところがあって。私もその世代だったんですが、そういう世代は教え方がわからないんですね。特に私が人材開発室に来てここ3年ぐらい感じるのですが、最近の新卒の方たちはガラッと質が変わったと感じています。そのジェネレーションギャップを埋めることも大事です。

JMAC:
 これからどんどん世の中人手不足になっていきますし、新しいスキルを会社に入ってから身に着けるリスキリングであったり、今までのスキルをガラッと変えるなど、世の中の変化に合わせてやっていかなければなりません。それは自分1人ではできず、周りの方々の支援が必要ですね。

岩田:
 2つ目が、同じ組織内で同じ研修をする機会をつくることです。具体的には一緒に働く同じ部署内の方へのコミュニケーション研修をしたいですね。私たち人材開発室は価値観の違いであったり、世代間の違いを知る機会があるからこそ、円滑に仕事を回せている部分もあります。「きっとこの人はこうだろう」と手探りで相手を認知、理解をするよりも、価値観をお互いにすり合わせるとか、そうしたほうがもっともっとお互い歩み寄って、コミュニケーションが取れると思います。
 自分の軸で相手を理解するのではなくて、少し歩み寄って相手を知るとか、もっともっと同じ部署内の相互理解と言うのが大切だと感じています。

JMAC:
 外資系の会社では、ボスが変わると必ず合宿でチームビルディング研修をやるんです。ですから事業部長が変わりました、部長が変わりましたと言うと、2泊3日でどこかに泊まり込みで、1日はうちの部署をどうしようという言う議論をして、もう1日はレクリエーションして帰ってくると言うことを必ずやるんですよね。もちろんボスも新しくなったからチームのメンバーのことを知りたいし、みんなもボスのことを知りたいわけです。

岩田:
 いつも一緒にいるからこそ、なんとなくでお互いのことを理解してしまっていて、真の意味での相互理解がもしかしたらできていないのかなと感じるんです。

JMAC:
 今の言葉で言うと「エンゲージメントを高める」とよく言うのですが、じゃあ仲間も大好きだし仕事も好きと言うふうになるためには、そういうチームビルディング的な場づくりをされた方がよいですね。人材開発室の方が起爆剤になってそのような場づくりをしてあげるといいと思います。

第3回は同社 人材開発室の仕事のやりがいと今後の企画の方向性についてお聞きしました。
続きは次回(第4回<最終>)お届けします。

>> 「第4回(最終回)」記事はこちら

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