東電タウンプランニング様
人材育成で「革新企画実践力」を養い、組織変革を図る!
人材育成で「革新企画実践力」を養い、
組織変革を図る!
成長ビジョンで目指すは「外販売上5倍増!」
人材育成で「革新企画実践力」を養い、組織変革を図る
ここ数年、電力業界はかつてない大きな変化にされられている。そのような状況の中、同社は、企業として存続を図ることはもちろん、福島の復興をグループ一丸となって成し遂げていくために、親会社である東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東京電力PG)からの受注以外の外販売上5倍増という成長ビジョンを掲げた。その実現において、何より急務だったのが内向き視点から変化に対応できる変革人材の育成だった。
そこで5年前に立ち上がったのが「次世代リーダー育成研修」だ。当研修企画の背景や効果、現在までの状況について、東電タウンプランニング株式会社 総務部労務人事担当 髙木貴敏部長にお話を伺った。
当社は東電グループの一員として「無電柱化を中心とした地域開発事業」、「電柱広告を中心とした地域密着型広告事業」、「電柱・電線など身近にある配電設備の建設・保全の配電事業」を担う会社です。
電力インフラに関わり地域に密着した東京電力グループのコア事業である3事業のシナジー効果によって更なる事業拡大を目指しています。
東電タウンプランニング株式会社
総務部労務人事担当部長 髙木 貴敏 氏
インタビュアー:(写真 左)
株式会社日本能率協会コンサルティング
シニア・コンサルタント 佐伯 学
東電タウンプランニング株式会社 総務部労務人事担当部長
慶應義塾大学経済学部卒業後、
1982年4月東京電力株式会社(現東京電力ホールディングス株式会社)に入社。
本社およびグループ会社等の総務・労務人事分野を中心とした管理職を経て、
2016年7月東電タウンプランニング株式会社 総務部労務人事担当部長に就任。
現職
■佐伯 学 プロフィール:JMAC
株式会社日本能率協会コンサルティング シニア・コンサルタント
経営コンサルタントをなりわいとして今年で31年目。
これまでのプロジェクト経験を集大成して、ここ10年は経営幹部やマネジャー、
次世代リーダークラスの育成に力を注ぐ。
コンサルティングプロジェクトや実践研修、階層別研修を通じ、クライアントの
心ある皆さんと日々一緒に考え、実践している。
■「次世代リーダー育成研修」企画の背景
そこから2022年3月までに5期、計100名にも上る社員の方が受講され、現在も活動を継続されておられます。
まずは研修企画に至った背景や当時の貴社の経営課題についてお話いただけますか。
総務部労務人事担当部長 髙木貴敏 氏(以下敬称略):
当社はもともと東京電力PGの配電事業の業務をほぼ100%受注して成り立っている会社でした。5年くらい前に、これからの電力の状況を考えた時に、もっと外からの仕事を増やして会社として自立していくことを目指そうという成長戦略へと舵を切ったのです。2016年度を起点として、その後10年後の2026年度に向け、東京電力PG以外からの受注、いわゆる外販売上*を5倍増にするというビジョンを掲げました。
それは貴社独自の計画ですか?
髙木:
いえ、外販を増やし稼ぐ力を付けていくという戦略は東京電力グループ全体の方針です。「5つのD」※ という大きな変革があり、その中で電力事業も生き残りをかけて取り組んでいかねばならないという危機感がありました。それ以上にこの成長に込めた背景というのが、東京電力グループが一丸となって福島の復興を成し遂げていくということを再確認したということです。グループ会社として存続し続けるのはもちろんですが、復興の原資を稼ぐためにも、東京電力PG以外のいわゆる外販売上を増やし、もっと稼ぐ力をつけることをミッションとしたのです。
これは東京電力PGのビジョンとしては大きな変革の年で、今までの延長線上の改革ではダメであると。まったくの新しい事業を立ち上げるくらい、まさに別の会社になるくらいの意気込みで改革をしないと、ということになったのです。
私がふだんよく言うのは我々は「東電タウンプランニング」から、「東京タウンプランニング」を目指すのですと。新しい会社を創っていくくらいの強い覚悟をもって、稼ぐ力を付けないとこの目標は達成できないということなのです。
今回の研修もその一環で立ち上がったということですか?
髙木:
はい。そのためにも人材育成を強化し、稼ぐ力をどうやってつけるかということで、まず必要なのが「革新企画実践力」だと考えました。いわゆる内向きの発想から外向きの発想に転換が求められますし、従来のように仕事をうまく回していく力に加えて、環境の変化を敏感に察知し、周りを巻き込んで自らの力で会社を変えていける、そういったスキルを身に付けていくことこそ急務と考えました。
それを進めるにおいてどの層をターゲットにするかなのですが、これから新しい時代を作っていくのは次世代の中堅社員や若手社員です。そこにターゲットを絞って、テーマも今の事業革新ではなくいわゆる「新規事業の創造」ではないかと。ポイントを絞った研修を企画して、修羅場経験をさせながら次世代リーダーを育成していくというのがこの時期一番理にかなった戦略ではないかと考えたのです。
JMAC:
「革新企画実践力」という、ただ考えるだけではなく、考えたことを実現していくような研修を企画されたわけですね。
■研修が各事業に与えるインパクト
9月から2月まで5単位、10日間の研修を受講いただくスタイルです。
卒業前に全役員や全社幹部の前で、新規事業や業務改革のビジョンをプレゼンテーションしていただく、
言わば修羅場体験のようなハードなプログラムになっています。
5年間、この研修を継続実施されて、既に100名の卒業生の方も職場でご活躍されていますが、
各事業へのインパクトはいかがでしょうか。具体的な変化、印象、成果を教えてください。
髙木:
正直なところ、実際に新規事業として立ち上げられ、案件までいったものはないのです。ですが、ひとつ言えるのは、直接社長や役員の前でプレゼンテーションをする機会が与えられますので、経営としても、「これは!」というようなトップ人材を発掘する、そういう場の貢献になっていると感じます。
実際に研修終了後に新規事業開発部門へ異動になった受講者もいます。プレゼンで印象に残り、この社員は高いポテンシャルがあるのではないかということで、異動になって実際に活躍している社員もいます。
トップ人材にキャリアアップを踏ませて、計画的に異動させながら育成をしていこうと。次世代リーダー育成研修のOBは役員との人事異動レビューの中でもよく名前が出てくるのですが、この研修受講は異動候補者としてリストアップする中のひとつの重要なステップになっていると感じます。
JMAC:
ふつうトップ人材は部門で抱え込んでしまう傾向にありますが、役員方が経営を担っていく人材としていろんな事業部を計画的に異動させていくということですね。
髙木:
次世代リーダー育成研修の修了生はもう開始5年になりますから、少しずつ管理職にも登用されてきています。彼らはリーダー研修のカリキュラムで必要なビジネススキルを教わっていますから、部下に対してもそういった感覚で指導してくれています。新しい管理職像といいますか、部下育成にもよい影響を及ぼしてくれていると思います。
もう一つお話をすると、5年前からいわゆる人材アセスメントを行っているのですが、このデータをみると、まわりをうまく回していける力というのは、当時から世間一般的なデータと比較すると当社は長けているという結果が出ています。
JMAC:
任せられた仕事をちゃんとこなすというのは、東京電力グループの配電事業などでいうと大切な資質ではないでしょうか。そういう人が現場では成績がよいということですよね。
髙木:
しかし、今の仕事をうまく回していく力は非常に高いのですが、変化に対して周りを巻き込みながら自分の力で会社を変えていくというコンピテンシーがまだ足りていない。当社はどちらかというずっと基盤事業を支えてきたのでそういった傾向が強いのかもしれません。これが次世代リーダー育成研修のみならず、5年前から様々な階層別研修で問題解決や課題解決を実践的に経験させながら少しずつ変化が見られるようになってきました。
JMAC:
要はもともと社員の方のポテンシャルが高かったと思うのです。そんな中で皆さんが研修を受けられたり、業務で意識することで変わってきたということですね。これからの経営の中でも人材革新をもっと強化していくということでしょうか。
髙木:
どこの会社も今変革できる人材が求められていると思います。業態を超えて、仕事の業務革新は起こっていますし、大きな変化が起きている。それは電力事業だけではなく、例えば自動車産業も今は大変大きな転換期を迎えられています。そういう意味では弊社だけではないと思いますが、会社を変えていく力というのはますます求められている、そうでなければ会社として存続できなくなると思っています。
JMAC:
2017年から社内の雰囲気も変わってきているでしょうか。
髙木:
もちろんビジョンが明確に示されたということもあるでしょうし、役員もそれだけの意識改革といいますか発想の転換が求められてきているので、当然変わってきていると思います。少しずつ変わってきているから、社員はその変化に気づきにくいかもしれませんが、私から見て5年前からすると相当変わってきていると感じます。
JMAC:
髙木部長は最初からずっとこの研修に関わってこられていますし、必要な変革に十分耐えられる人材に育ってきていると手ごたえを感じておられるわけですね。
髙木:
まだまだ道半ばですが、手ごたえは感じているところです。
■原子力発電所見学は成長ビジョンの起点
福島や柏崎の原子力発電所視察を最終日に組み込まれているのも特徴ですね。
この意図についてお話いただけますか。
髙木:
東京電力グループでは、福島の復興を一丸となって成し遂げていくというミッションを掲げており、弊社の成長ビジョンの根幹にもなっています。ですから、実際に現地に行って視察し、肌で感じてもらうことを目的にしています。
弊社は、東京電力グループの中でも配電設備を主に所管している会社です。発電部門を所管しているわけではないため、発電所について机上でどんなに学んだとしてもなかなか理解ができない。ですから百聞は一見に如かずということで、実際に現場に赴き、直に話を聞いて考えてもらうのがそもそもの目的です。
成長ビジョンの起点になっているのは間違いありませんから、直接現地に行ってしっかり話を聞いて理解する。それがもっとも近道だと考えています。
JMAC:
私も同行させていただき、福島の原子力発電所を拝見しましたが、今もあれだけ多くの方が働かれていて、復興に何千人という方が関わっておられる。街の雰囲気も感じられますし、それを見て、私は東京電力グループの社員として何ができるかということを考えること自体意義があると感じます。
髙木:
これは一つの例ですが、福島産の物産店のお手伝いもさせてもらっています。ああいう行動を起こせるのも、そういった理解があるからだと思います。
JMAC:
さらに合宿の時にうまく時期ややり方を工夫しながら、毎回2クラス合同で実施されていますね。受講者の皆さんからもとても良かったという声を聞いていますが、そのあたりの考えについて髙木部長の思いを聞かせていただけますか。
髙木:
やはり普段はコロナ禍もあって、仕事が終わった後に飲みに行くこともできませんし、合宿は唯一ひざ詰め談判でテーマを煮詰めるいい機会だと捉えています。24名が本当に同期みたいな形で、夜遅くまで語り合う良い機会になります。そこで結束力が高まってその後の絆が培われると思っています。
変革の輪というのはある意味雪だるまみたいなもので、周りを巻き込みながらどんどんその雪だるまが大きくなっていく、そういった変化みたいなものだと思います。全員に求められるわけではなくて、選抜された1割2割の人間が周りを巻き込んで変革の輪を大きくしていく、そんなネットワークづくりとして、この合宿は非常に重要だと考えています。
JMAC:
それぞれの事業所で日常お話する機会もなかったり、事務所が違えば支社ごとの交流もなかったりしますが、あの場ではそれぞれの事業部、あるいはそれぞれの支社の選ばれた人が一緒に語ったり、発表したり、食事をしたりすることで、ぐっと結束力が高まって後半の社長プレゼンまでのエネルギーが沸いてくるということですね。
髙木:
「新しい事業の創造」というのがテーマですから、誰しもが得意な分野ではないわけです。お互いに同じ苦労や悩みを背負っているわけです。一人ひとりがそれをクリアしないといけないというミッションを抱えた中の同志ですから、仲間同士の絆が深まると思っています。
JMAC:
ある意味修羅場体験なんですが、その中で仲間意識が芽生えたり、意見交換ができるメンバーで、これが研修だけでなくて実務に戻ってからも会社としての一体感を作っていくわけですね。
髙木:
実際に研修が終わってからも継続して交流しているやに聞いています。
JMAC:
合宿の経験、発表の経験がそれぞれのマイルストーンになっているからではないでしょうか。意図したわけではないですが、結果として一体感が作られていますし、お一人おひとりの成長のキャリアの重要な一里塚になっていると感じますね。
■コロナ禍での研修実施の工夫
フェースシールドをしての集合研修だったり、現地調査や市場ニーズ調査の推進、
オンラインでの研修受講や最終発表など、事務局として大変なご苦労もあったと思います。
オンライン研修の採用なども含め、今後の研修運営をどのようにお考えですか。
髙木:
基本的には研修は参集が望ましいですね。やはりface to faceでひざ詰めで議論することの重要性は掛け替えのない機会です。ですから次世代リーダー育成研修プログラムについては、今後も基本的に参集でできたらと思っています。ただ、それ以外にいろいろと同期同士でプレゼン内容を詰めていくようなミーティングなどはオンラインでよいと思います。
もうひとつは、既に本プログラムは100名に上るOBを輩出しておりますので、OBの方々の参画ができたらと考えているところです。そういった主要なプログラム以外の活動を社内で活発にできたらと思っています。
JMAC:
同じ支社内であれば、発表を見てあげるという先輩、同期の交流はあっても、支社や事業部を超えてしまうと、OB、OGの人との協力や交流はまだまだこれからという感じでしょうか?
髙木:
これまでまったく考えたことがない新規事業の創造というのがテーマなので、自分だけで悶々と考えていても、なかなか打開策が見えてこないですよね。OBも含め、広く同期や他部門の人たちとのオープンな議論を通し、そういう考え方もあるのかという気付きを得る、そこが重要だと考えます。
研修を受けて自分でその内容を理解しただけでは社長プレゼンまでの道のりは1歩も進みません。もっといろんな情報を自分の足で行動を起こして集め、その中でいろんな気付きをうまくプレゼンの中に取り込んでいかないとプレゼンには絶対行きつかないのです。
JMAC:
インターネットで情報を集めるのは簡単でも、それだと役員には通じないし、役員に響くのは、実際にお客様のところへ行ってきましたとか、誰々に取材してきましたという生の情報ですね。そこが1歩踏み出せるかどうかが最後の成否を分けますね。
髙木:
我々からすると、いわゆるフィールドワークと称する市場調査が一番重要なステップで、社外の人が当社をどう見ているかとか、そういう観点こそ重要な視点になってきます。今まで東京電力PGの100%子会社として配電の事業しか企画してこなかったので、東京電力PGのことは見てきたのですが、それ以外の市場についてはあまり関心もなく見てこなかったので、電力内部の内向きの発想の人たちがまだまだ多い状況です。
そうではなく、これからは外販という外の世界で稼ぐということにおいては、外部の人が弊社をどうみているのか、何に期待されているかという視点が大切です。それについて我々の強みを生かして顧客ニーズのどこに応えられるのかというのを生の市場調査で体験する、そこが重要なプロセスであり観点なのです。
JMAC:
受講者の方を見ていて、最初はどこに何を聞きにいったらいいかという1歩が出ない方も見うけられました。
しかし、東電タウンプランニングという名刺を持っていくと、意外にいろんな業界、企業の方が熱心に教えてくださったり、お話してくれるんですよね。それを1回突破できると、じゃあ次はこういうところへ聞きにいこう、次はこうしようという風に自然と足が向く。こういうところがよい循環だと思います。
髙木:
自分で実践するということですよね。大切なのは実践力。机上で学習するのも大切ですが、自分で行動を起こすことが重要で、それがないと社長プレゼンはとても突破できないと思います。
JMAC:
すごい体験ですね。
ふだん広告事業でお客様のところに行っている方でも、違う発想が求められると、どこに行って何を聞いてきたらよいかわからなくなる。東電グループのいろんなグループ会社に聞きにいくことでさえ、最初はみなさん躊躇されるみたいですが、いざ行くと違う分野の方がいろいろ丁寧に教えてくださる。これはすごくいい経験だと思います。
■今後人材育成で強化したい点とは
また、次世代リーダー育成研修をはじめ、その他の人材育成にも経営トップが率先して熱心に
取り組まれておりますが、今後さらに強化したい点をお聞かせください。
髙木:
次世代リーダー育成研修というのはどちらかといえば選抜研修ですから、選抜された1,2割の社員に革新企画実践力を付けてもらって変革の輪をどんどん大きくしてもらうという狙いでやっています。一方で、残り8割くらいのベース人材の地力の強化というのも非常に重要だと思っています。このベースとなる人材においては、まだまだ自ら考えて判断し、実行するという部分で課題があるのが実情です。
よく社長も言われるのですが、PDCAを回す場面でもチェックがうまくできていなかったり、PDCAではなくただDoを連発しているだけだったり、そういったところが見受けられて、普段目標に対して的を射た行動になっているかというチェックが正確に行われているかというところも怪しい面があります。プランの立て方自体に問題があったり、いわゆる仮説設定力、仮説を立ててチェック&レビューをしてアクションプランを立て直すという取り組みをもう少しシステマティックにできるように訓練しないと、日常的な課題達成についても時間軸が遅れたり、スピーディーさに欠ける部分があるので、考える力をつけるという点でまだまだ課題があると感じています。
JMAC:
貴社では資格をもっていないとできない業務もあって、キャリアを自分で作ってデザインし、ステップアップにつなげる、資格をとってまた新しい仕事にチャレンジするというのがいろんな分野に広がっていると思います。その辺りのサポートや、仕組みづくりはどのような感じでしょうか。
髙木:
資格については奨励資格が設定されており、資格取得奨励制度もありまして、奨励金を支給するといったシステムはかなり充実していると思います。
JMAC:
社員の皆さんの制度の活用具合はいかがでしょうか?若い方はキャリアアップのために資格を取ろうという意識が高いように感じますが、皆さんそれぞれ日々多忙な中で資格を取得するとなると、会社の事業の変革スピードに対して取得者の数が追い付かないといったことはないでしょうか。
髙木:
外販部門の、例えば無電柱化を中心とする地域開発事業などにおいては土木の資格は必要になってくるので、そういう部分ではまだまだ資格取得は進めていかないといけないのですが、実務経験が必要だったりすることもあるので、必ずしも机上の勉強だけではありません。これはやはり実務と並行して取得してもらわないといけない部分もあるので、部門でしっかりした管理が必要になってくると思います。
もう一つ内販の部分で中心になっている配電事業というのは、電力固有の技術です。どちらかというと国家資格のレベルではなく当社できっちり体系だって定めている技能認定制度、社員の認定制度がありますから、ここを5年ないし7年くらいで3級、2級、1級と上げていくのですが、この部門をしっかりと育成していく、今そこが中心になっていてなるべくスピーディーに取得させていくところが課題です。
JMAC:
若い方にとっては自分のキャリアが目に見えるようになりますし、会社もサポートしてくれるのはよいことですね。
たとえば人材採用にあたって中途入社の方や新入社員等、外の方がご覧になって貴社はどのような魅力があると思われますか?
髙木:
ひとつは電力というのは基盤事業なので、それなりに社会貢献性が高い企業というイメージを持っていただいていると思います。ただ、大変な事業でもありまして、電気は灯いているのが当たり前で、ひとたび停電するとお客様に非常にご迷惑をおかけする分野でもあります。配電設備の整備というのはいろんな苦労はあっても、当たり前過ぎてなかなか理解されにくいとも言えます。ですから使命感をもってやらないと、電力の安定供給というのは難しい仕事です。そこは学生さんにもよくお話しています。
一方で電力はいろんな技術が込められていますから、そういった部分を他の分野に活用していけるのが弊社の魅力です。もちろん東京電力の資産ではありますが、電力設備は関東一円に無数に散らばっています。そういった部分の資産をもっている会社はそうそうにない。これを資産として活用し、新しい事業に展開するというのが弊社の強みだと思っています。
例えば新規事業で防犯カメラ事業もやっていますが、防犯カメラというのは一般的にはスタンドアローン、つまりここだけしかみていないというのが多いです。しかし弊社は面的につけることによって、その地域の防犯や安全を面的にカバーできるわけです。
無数に散らばっている配電設備をネットワークとして活用して、面的なサービスができる、そういう部分を活用した事業を今後も展開できるのが弊社の強みだと思っています。
JMAC:
これから企業はパーパス経営とも言われますが、社会貢献は絶対に大切です。そこは貴社としては既にやられていて、ネットワーク、電力資産を活用してどうやって次の新しい面的サービスを作っていかれるか。安心安全を届けていくといった強みもありますし、それを関東一円、面的にサービスしていくということが、これからの課題ということですね。
■今後の展望とJMAC研修への期待
最後に、貴社の今後の研修における展望や 「JMACが提供する研修」に対する期待などをお聞かせください。
髙木:
弊社の社員は、お付き合いする人材の多くが電力業界に限られるという人が多いです。ですから、JMACさんがお持ちの電力業界以外の豊富な経験やたくさんの引き出しを、研修の中に落とし込んで様々なプログラムを実践してもらえるのはとてもいい効果だと感じています。
弊社としてまだまだ課題だと思っているのが、研修を研修で終わらせずに、実務のつなぎへともっと太く紡いでいけないかという点です。JMACコンサルタントの横山さんにも入社7年目の問題解決研修をお願いしていますが、実際に自身のテーマを持ち寄って問題解決をさせ、フォロー研修をして、改善法のやり方を勉強するだけでなく、そのテーマを自分で改善させるという風にすべての階層別研修にフォロー研修を付けています。
教わっておしまいではなく、必ずフォロー研修までの間に職場で実践させる。人間は実践しないと体得しないですし、机上の学習だけでは絶対忘れてしまうので、必ず体験させるということを重視しています。ただ、そのフォロー研修が終わるとそれっきりになる傾向があるのが今の課題でしょうか。ですから、フォロー研修のあとも引き続き実践活動ができるような形のフォローアップができないか、そういう研修メニューを今検討しているところです。
後は、ベース人材の地力の強化です。もっとしっかりと仮説を設定し、PDCAを回せる力をつけさせる、それを実践的なテーマでできないかといった風に考えています。今後もJMACさんのお力を借りながら、きっちりと仮説設定をしていってPDCAを回し、成果につなげていくというスキームをうまく構築していきたいと思っています。
JMAC:
我々JMACの強みは現場系です。作業や業務をどう効率的に回せるかを指導するのが能率活動です。今、そういうお会社で定年退職をされた方、また現場で指導されてきた方にパートナーコンサルタントとして指導してもらっています。その方が現場を見ると、ここができていないとか、ここはできるようになったというのが一目瞭然ですので、また違うやり方での現場アプローチを提案させていただきます。
本日はお話をお聞かせいただきありがとうございました。