研究所における顧客価値を創造できる人財の育成
出光興産株式会社様

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研究所における顧客価値を創造できる人財の育成

~ 人財育成の礎は経営の原点である「人間尊重」 ~

 出光興産様では、エネルギーの安定供給とともに社会課題解決への貢献に向け、2030年ビジョンとして「責任ある変革者」を策定されました。さらに、カーボンニュートラル社会の実現に向け、2050年ビジョンとして「変革をカタチに」を掲げられています。
 それら将来ビジョンの実現に向けた事業ポートフォリオ転換のために、同社次世代技術研究所においても、技術開発に留まらず、顧客価値を創造することを重点課題と捉えて、昨年度より「顧客価値創造力向上研修」プログラムを開始し、新しい価値を生み出せる研究員の育成を図られています。
 今回は、この研修実施に至った背景やねらい、今後の展望等について、同社次世代技術研究所の皆様にお話をうかがいました。

■会社概要:出光興産株式会社
 1940年3月30日(創業1911年6月20日)
 ・本社所在地: 東京都千代田区大手町一丁目2番1号
 ・主な事業内容: 燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源
 ・売上高: 約9.5兆円(2023年3月期)

インタビュー:出光興産株式会社 次世代技術研究所
 ・副所長 博士(理学) 齋藤 一仁 氏(写真:左)
 ・研究企画課 担当マネージャー 池田 修一 氏(写真:右)
 ・管理課 人事チーム 永尾 祐子 氏(写真:右から2番目)

インタビュアー:株式会社日本能率協会コンサルティング
 ・R&Dコンサルティング事業本部 チーフ・コンサルタント 小田原 英輝
  (写真:左から2番目)

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■ 次世代技術研究所 副所長 博士(理学) 齋藤 一仁氏 プロフィール

 1994年に入社後、中央研究所に配属され(現 次世代技術研究所)、触媒の構造開発に従事
 その後、1998年に米国・Kentucky大学に留学し、石油精製触媒に関する研究開発を経験
 2011年、経営企画部にて全社中長期戦略の策定や新規事業開発に携わり、販売部および
 新エネルギー部(現電力・再エネ事業部)において電力販売事業を推進
 2019年に、次世代技術研究所に戻り、環境・エネルギー研究室長を経て、現在に至る
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■ 次世代技術研究所 研究企画課 担当マネージャー 池田 修一氏 プロフィール

 1992年に昭和シェル石油株式会社(現 出光興産株式会社)に入社
 製油所勤務で製造技術、品質管理、安全管理業務に従事
 研究開発部門に異動後は、家庭用燃料電池や水素ステーションの導入・実証プロジェクトに参画
 その後、研究企画部門で、R&Dマネジメントや新規事業探索活動に従事
 この間、国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)および一般社団法人
 新化学技術推進協会での勤務を経て、2022年から次世代技術研究所研究企画課にて現職
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■ 次世代技術研究所 管理課 人事チーム 永尾 祐子氏 プロフィール

 1997年入社 中央研究所(現 次世代技術研究所)にて、主に無機分析を担当
 2001年、分析の外販部門である出光テクノリサーチセンターにて企画・営業に従事
 その後、研究所での製品安全業務、研究企画業務を経て、
 現在は人事担当として主に人財育成の業務に携わっている
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■小田原 英輝 プロフィール:JMAC R&Dコンサルティング事業本部 チーフ・コンサルタント

 技術を核にした新事業/新商品創出や技術戦略策定を専門に、製造業の幅広い業種のクライアントを
 支援している。現場の能力を最大限に引き出すために伴走型で支援するスタイルや、
 継続して成果を出し続けるための仕組みづくりまで支援することが特徴。
 近年は、イノベーション・マネジメントシステム革新にも注力している。

●研究所における人財育成の考え方や目指すべきR&D人財像についてお聞かせください。

次世代技術研究所 副所長 齋藤 一仁氏(以下敬称略):
 idemitsu_saitou.jpg全社の中期計画で2030年、2050年に向けた新しいポートフォリオを打ち出しており、当研究所ではそのポートフォリオの転換を実現するために、日々研究活動に励んでおります。従来の人財育成においては、どちらかと言うと技術を中心にした育成が多かったのですが、それではお客様の欲するもの、すなわち顧客価値を創造するという視野が欠落しがちでした。そこで、研究開発の入口から顧客目線というものを根付かせたいという思いがあり、今回JMACさんに顧客価値創造力向上研修をお願いした次第です。

JMAC R&Dコンサルティング事業本部 チーフ・コンサルタント 小田原 英輝(以下JMAC):
 これまでは技術に軸を置いた人財育成に取り組まれていたということですが、ポートフォリオ転換を目指される中で、顧客価値創造に重点をあてた人財育成の取り組みを強化し始めたということですね。研究所は、全社で見た時にどのような役割が期待されているのでしょうか。

齋藤:
 従来は基礎研究などの研究活動をすることが中心で、研究員は自分の専門に特化した研究活動ができればよいというような時期もありました。ただ象牙の塔では無いですが、それだけでは開発したものが世に出ていきませんので、やはり社会の動向やお客様が欲しているものは何なのかということを常に意識しながら研究をしなければいけないということで、顧客目線を重視した育成へと舵を切ったのです。

JMAC:
 お客様に価値を提供する新事業・新商品を創出し、事業に貢献するということがより強く求められるようになってきているのですね。

齋藤:
 はい。しかし、これまで顧客価値創造というのが何なのかということ自体あまり意識できていませんでした。それで今回JMACさんの研修を通じて何とか若い人たちにこの顧客価値創造を浸透させなければならないという思いでスタートしたのです。

JMAC:
 この研修が若手の育成、若手による顧客価値創造力を強化するための位置づけとなっているわけですね。

齋藤:
 私自身、かつて社外セミナーで学んだことがその後実際お客様と直接話をするような立場になった時にとても役に立ちました。ですからなるべく若いうち、早いうちにそのような教育に触れさせたいという思いで企画しています。

JMAC:
 齋藤副所長のご経験を踏まえた考えも企画に込められているのですね。何か他に顧客価値創造力向上研修を企画した背景はありますか。

齋藤:
 研究所の年齢構成を見たときに、若手かベテランかという大きく二極化した分布に偏っていました。この間の層を埋めたいのですが、なかなかキャリア採用だけで埋めることは難しいので、若い人たちを早く成長させたいという思いで、なるべく早いうちにこういった研修で学ぶ機会を与えたいと考え、研修を企画しました。

●「顧客価値創造力向上研修」の企画にあたって意識されたポイントは何でしょうか?

管理課 永尾 祐子氏(以下敬称略):
idemitsu_nagao.jpg まず研究所の問題点としまして、人財育成が個人や研究室単位で若干偏っているという問題がありました。研究所として、こういった顧客価値創造の研修を行うにあたっては、研究所一律で学べる機会を用意したいというところがありましたので、体系的な教育、しかも継続的に長く行えるような研修を意識して今回のプログラムを企画しました。
 全員一律で研修するという体系化を目的としていましたので、ステップを踏んでだんだんレベルアップしていけるようなプログラムを目指し、基礎編・応用編・実践編という形で、それらを2、3年かけて学べるように、今回の研修プログラムを作っていきました。


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JMAC:
 R&D部門におけるこのような企画系の研修は、数年に一回単発で実施される企業も多く、実は会社の中で全く研修を受けたことがないという人も他の企業様ではいらっしゃったりするのですが、全員がしっかり体系だった教育を受けられるというところに貴社の人財育成への強い思いを感じます。

永尾:
 有志参加などにしてしまうと、どうしても個人の意識の差が出たりしますので、全員一律で学べる場を用意したかったのです。

齋藤:
 これについてはどの年代から実施するかということも議論になりました。今回は2年目~5年目社員を対象にしていますが、研修時期が早いのではないかという意見や、もう少し社会人や研究者としての経験を積んでから、こういったことを学んだほうがいいのではないかという意見もありました。しかし、なるべく早いうちに受けた方がよいという我々の思いがあり、若手を中心に受講する企画としました。

JMAC:
 キックオフの際にも、各自の引き出しとして、こういった知識やスキルを身に付けて欲しいというお話がありましたね。スキルが必要になったときに、そもそもどのような引き出しがあるかが分かっていなければ実践したりスキルアップに取り組んだりすることはできませんから、よい考えだと感じました。

齋藤:
 それに社外の人と話をするときに、基本的な言葉を知らないと恥ずかしいのではないかと思います。SWOT分析とは何とか、シナリオプランニングとは何とか、常識的に知られているようなことでも学ばないと知らない人もいるので、それを学ばせて一定以上のレベルは持たせたいと思っています。

JMAC:
 確かにオープンイノベーションで社外と協業していく場面も増えてきていますから、そのような場面で、マーケティングや経営戦略などのフレームワークは共通言語として役に立ちますよね。

●研修企画時に意識した点や工夫点、また運営上気を付けられている点についてお聞かせください。


研究企画課 担当マネージャー 池田 修一氏(以下敬称略):
 idemitsu_ikeda.jpg私は、全所の研究を企画推進する研究企画課という組織に所属しております。この部署は研究所で新規事業を創出する活動の推進部隊になっているのですが、このような研修を通じて、新しい事業、新しい研究テーマを作っていこうという中で、成果にとても期待を持っています。受講者目線で言うと、研修を通じて自分が考え出したアイデアが、その後の事業企画にどう繋がっていくのかが見える方がモチベーションアップにもつながりますし、そのような研修成果については、研究者と協力して推進に繋げていきたいと考えています。

JMAC:
 実際に研修の場で考えたアイデアが、その後の自分たちの事業化テーマや研究開発テーマになっていく。そういった実践型の研修が、参加者にとっても大きなモチベーションにつながっていくわけですね。

永尾:
 研修というのは、受講される方の意識が前向きでないと身にならないところがありますので、こういった研修をなぜやるのか、その意義や目的をまず受講者に強くインプットすることも意識しています。研修の初回には、研究所のトップである所長から、受講者に期待感を伝えていただく場を設けて、学ぶ意欲を向上させる工夫も行っています。
 最初から完成度の高い研修を用意するのはなかなか難しいですので、まずはトライアルという形でスタートして、主な対象は若手研究者ですが、知識のある先輩社員にもオンラインで受講してもらい、その都度先輩社員や受講者の方々の意見をいただいてブラッシュアップしていくような形をとっています。
 この取り組みを昨年度から始めているのですが、まだまだブラッシュアップしていきたいですし、我々研究所によりマッチしたプログラムに改善していって、より受講者の身になる内容にしていけたらと思っています。

JMAC:
 お話された通り、受講者からのフィードバックや研修で気づいた点などを毎回共有頂いて、研修運営や研修環境などの改善を一緒に考えて実行しています。こういった姿勢にはとても感心させられています。

●JMACの研修の印象や特徴、また現時点で感じられている研修の効果についてお聞かせください。


永尾:
 まずJMACさんを選定させていただいた最初のきっかけとしては、御社の方で用意されているMOT(Management of Technology)関連の研修でした。既存の研修のラインナップがとても充実しており、弊社でやろうとしている顧客価値創造力向上研修の構想にマッチしているというところが最初のきっかけでした。そこから打ち合わせを経て、既存の研修をベースに弊社向けにカスタマイズしていただいて、より自社に合った研修のカリキュラムになった点も選定のポイントになりました。  
 先程の質問への回答と重なりますが、研修を開始した後も、受講者や先輩社員からの意見等をお伝えし、それをもとに研修内容や運営をブラッシュアップしていただいています。そういったところもこれから長くお付き合いしていく上で、引き続きお願いしたいと思っている点です。

JMAC:
 R&D分野に関する幅広い研修をラインナップしているのはJMACの特長のひとつですね。  
 では次に、まだトライアル段階という位置づけではありますが、研修の成果や効果についてもお聞きしたいと思います。

齋藤:
 教えていただいた仮想カタログなどのツールを実際に若い社員が中心となって使っていますね。毎月月例会等で、研究室の中での自分のテーマの進捗を報告する場面があるのですが、そういう時に学んだツールをいくつか発表の中で織り交ぜたりしていて、徐々に研修の成果が浸透しているというように感じています。

JMAC:
 仮想カタログのフレームワークを使ってみると、顧客目線で自分たちのテーマの価値を考え直してみることに繋がりますからね。

齋藤:
 まさに自分が作っているものを誰にどうやって売っていこうかということを、研究者自ら考えるという所まで身に付きつつあるかなと感じています。

JMAC:
 それはよい行動変化ですね!

池田:
 ツールの話もそうですが、研究員からの進捗報告の中で顧客目線の話を以前より耳にする機会が多くなって、じわじわとこの研修の効果が浸透してきているなと実感しています。特に顧客価値創造は、この研修の一番の目玉ですので、従来の技術中心のR&Dではなく目線を顧客に移してのR&Dという形の研究がこれから増えていくことを期待しています。

齋藤:
 研修の効果としてもう一つあるのですが、仮想カタログを作って、実際にお客様の所へ出向いて話を聞いてくるという行動をする若手が少しずつ出てきているということが、大きな変化点だと感じています。昔の研究所のR&Dをやっている部隊のメンバーは、自分でお客様のところに行ってお客様の話を聞いてこようというようなことはあまりやらなかったと思うのです。そういった意味で、意識から行動への変革というものが現れつつあると感じています。

JMAC:
 それはすばらしいですね。色々な会社を見てきて、R&D発の新規事業立ち上げでは、お客様の声を聞きにいったり、現場に行ったりするといったフットワークの軽さが大きな差になっていると実感しています。こういった意識や行動が研究所の文化となって貴社の風土として根付いていくとよいですね。

●事務局メンバーとして、人財育成に関わるやりがいやご苦労された点、今後の展望や強化したい点についてお聞かせください。


永尾: 
 人財育成はゴールも正解もありません。その時々の会社の方針や所の方針に則って、社員がより成長できる環境や風土を作っていく進行形の業務という点で、非常にやりがいを感じています。ただ、なにぶん正解がないですから、自分自身もこれでいいのかという迷いを感じることもあり、そこが少し苦労する点でもありますね。  
 こういった研修や人財育成というのは、やはり受講する人がどれだけ納得感を持って、自分を成長させるためにとても重要で役立つものだという点を理解して受講いただくのが一番大切です。事務局としては、いかに受講者の方の理解を得ながらできるかというところが難しさの一つではありますが、そこを乗り越えたときの達成感は大きいですね。  
 先ほど齋藤や池田も申したように、ここ最近著しく成長を感じる若手が増えてきたことも我々のやりがいにつながっていますし、そういった若手研究員の意識変革が、周りにいる先輩研究員にもよい影響を与えてきていて、所全体が変わっていくきっかけになってきていると感じています。そこに携われるのも我々のやりがいの一つです。

JMAC:
 研修を受けられた若手の方が行動変容を起こせば周りにも良い刺激を与えますよね。そして結果的に新しい事業テーマや研究開発テーマを見出すことにも繋がれば、所全体にさらに大きな影響を波及させることに繋がると思います。

齋藤:
 今、顧客ニーズも多様化しておりオープンイノベーションの必要性が高まっています。当社においても社外との連携はこれまでもやってきてはいるのですが、やはりこれまではずっと国内にとどまっていたことが多いので、今後は世界に視野を広げ、共同研究やオープンイノベーションの対象を海外へとより広げていきたいと思っています。当社はシリコンバレーやスイスにも拠点がありますので、そういった場所も活用して世界と伍して戦える体制を整備したいと考えています。

JMAC:
 今後は世界を舞台にして協業や競争ができる人財を育成していきたいということですね。

●今後JMACへ期待することやご要望があればお聞かせください。


齋藤:
 座学に加えて事例をなるべく多く教えていただきたいと思っています。これは肌感覚で感じられる部分だと思いますので、他社事例でこういうことがあった、ああいうことがあったなどを実感できると、より学んだことが定着すると思います。

jmac_odawara3.jpgJMAC:
 JMACは、B To Bの支援も行っていますので、できるだけ貴社に近い事例をお話して受講者の方が手触り感を感じられるような形で講義を実施できればと思います。

池田:
 今回の研修もそうですが、実際に若手研究員とface-to-faceで接していただいていますので、特に第三者目線で、我々の研究所、研究員に対して何かお気づきの点があればご指摘いただきたいと思います。

JMAC:
 技術者一人一人の力を最大限に発揮できるようにするために、伴走型でご支援をさせていただくのがJMACの特徴の一つです。今後も課題認識などを共有しながら一緒に取り組みを進めていければと思います。

永尾:
 一過性のものではなく、継続することで実を結ぶと思います。この先も長くお付き合いいただけたらと思います。

JMAC:
 こちらこそよろしくお願いします。長くお付き合いすることで貴社の風土をより深く理解できるようになれば、さらによりよいご支援ができるようになるかと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

●最後に貴社のアピールポイントについてお聞かせください。


JMAC:
 当コーナーは様々な企業の方や、就職活動の学生さんなど多くの方にご覧いただいています。最後に、貴社のアピールポイントについてお聞かせいただけますか。

齋藤:
 当社は有事に強い会社だと言われています。例えば3.11の東日本大震災の時も、ガソリンの供給を閉ざさないということで、全社を挙げてローリーを配送したという話があります。当時は原発の問題もあって、現地に行ってもローリー車を一旦置いてくるしかありませんでしたが、ガソリンだけでもとの思いで供給に向かいました。要は供給責任が第一だということで、そういう過去のエピソードからも「有事になると会社一丸となって燃える」という社風が表れているのではないかと思います。

JMAC:
 有事に限らず、貴社からは実行力の強さを感じます。新規事業を見ていても有機ELもそうですし、今推進されている固体リチウム電池などもそうですが、やるとなったら本格的にリソースを投入して確実に事業化まで繋げていくという力は大きな強みだと感じています。

齋藤:
 有機ELは1987年に青色発光が見つかってから30年ぐらい経っていますが、今はそれが事業になっています。また、固体リチウム電池は1994年に硫化リチウムを製造する技術を確立してから今に至るまで約30年弱になりますが、そういう風に粘り強くやることが当社の一つの特徴だと思います。 最近は30年近くかける研究というのはなかなか時代的にも難しくなっていますので、自前主義ではなくオープンイノベーションで他社と協業しながらなるべく短い期間で達成を目指しているところです。

池田:
 私も粘り強さがある会社だと思っています。これというテーマを決めたら、事業化まで持っていくというところの粘り強さなどは、当社の特徴だと感じています。

永尾:
 当社は行動指針として、人が持つ無限の可能性を信じて、常に高め合いながら成長することを軸に、「自立・自律」「変革」「共創」「健康・安全」「高潔」の5つの柱を掲げています。  
 今、世の中ではジョブ型雇用、いわゆるジョブを提示して、それに対しての成果を出せる人という形の雇用を行う会社が増えてきていると思いますが、当社は人を成長させてジョブができるようにという考えで、非常に人の成長に対して力を入れている会社です。ですから、最初からジョブを持っていない人でも、成長させ、そのジョブを発揮できるようにする体制が全社的にとられているというところが、最近の傾向と違う特徴を持っている会社であり、当社の強みでもあると思います。

JMAC:
 創業者の出光佐三さんの「人間尊重」という経営の原点の考え方が、人財育成においても深く根付いることは色々な場面で実感しています。本日はどうもありがとうございました。

 出光興産の創業者 出光佐三氏は「人間尊重」をその事業経営の根本に置きました。
 「人間尊重主義」を掲げ、「社員は家族」と言い続けられた佐三氏。消費者の利益を第一に考え、苦難の道のりにあっても努力を惜しみませんでした。
 名経営者として金言集などこれまで数多くの書籍が出版され、現代のビジネス界を生きる多くの人々へ、今なお影響を与え続けています。
●出光興産株式会社 創業者「出光 佐三氏」ご紹介ページはこちら https://www.idemitsu.com/jp/enjoy/history/idemitsu/founder/index.html

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